2012 Fiscal Year Annual Research Report
経路の分岐点における選択傾向の状況による差異とそれをもたらす環境情報
| Project/Area Number |
23360265
|
|---|
| Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
|---|
Principal Investigator |
大野 隆造 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (20160591)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
| Keywords | 経路選択行動 / 環境情報 / 平常時 / 緊急時 / 視覚シミュレーション装置 |
|---|
| Research Abstract |
本研究では、経路選択の行動が人の置かれた状況、すなわち緊急時（extraordinary）と平常時（normal）で、また平常時でも目的が決まっている場合（resolute）と決まっていない場合（recreational）によって異なると考え、その原因となる経路選択時に要求される情報の差異を明らかにするため、選択行動と種々の状況変数（人の置かれた状況および環境情報の配置）を実験的に明らかにすることを目的としている。
本年度は、以下の観点から研究を進めた:１）視聴覚シミュレーションシステムを構築し、聴覚情報が重要となる夜間街路における安全性評価（不安感）に関する実験を行った。その結果、夜間街路における不安感が歩行者の着目する情報とそこから連想される状況によって説明できることを明らかにした。２）街路空間の安全性・快適性に特に敏感な妊婦および幼児を連れた母親を対象に、街路空間の評価をアンケートとシミュレーション実験により求める研究を行い、他の歩行者の流動パタンと密度と安全性評価の関係などを明らかにした。３）緊急時の経路選択として、津波避難行動についてアンケート調査を行い、平常時に考えている行動と、実際にとられる行動の差異について明らかにした。４）商業地における来街者の回遊行動について、経路分岐点での選択が街路のどのような物理的特徴によって左右されるかを、街路の情景写真を用いた実験、および実際の空間における実験を通して明らかにした。５）街路移動中の情報取得の傾向を分析するため、視線方向を記録するアイカメラを用いた予備的な実験を行い、映像提示方法や分析方法について検討した。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
さまざまな状況における経路選択行動について、アンケートによりその傾向が把握でき、実験により環境要因との関連を究明するための仮説構築ができた。また、実験方法および分析方法についての検討も行うことができた。
|
| Strategy for Future Research Activity |
これまでに明らかなった状況ごとの経路選択行動の傾向と、物理的環境およびそこからピックアップする情報との関係をシミュレーション実験により明らかにする。そのために、歩行移動時の環境からの情報取得の手がかりとなるアイカメラにより記録された注視点等の分析方法をさらに精緻化する必要があるが、申請期間内に達成することは可能と考えている。
|
