2012 Fiscal Year Annual Research Report
公共施設マネジメントの事例調査に基づく実践方法の研究
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23360271
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小松 幸夫 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10133092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 洋樹 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (00329088)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 公共施設 / 維持保全 / 老朽化 / 施設マネジメント / 施設台帳 / ベンチマーキング / 公会計 / 地理情報システム |
Research Abstract |
公共施設マネジメント推進プロセスに関しては、まず平成23年度に「何をどこから始めれば良いか」ということが自治体にとって大きな問題であることが確認された。そこから24年度には、包括的な視座から自治体全体の施設についての現状把握と問題のある施設の抽出方法をプロセスのひとつとしてまとめた。さらに再整備対象施設が決まった場合を想定し、住民側と行政側に齟齬を生じない再整備の進め方を研究し、プロセス案としてまとめた。 公共施設マネジメント推進のための参考事例集の作成において、平成24年度には自治体の現況を調査し、公共施設マネジメント推進の契機や目的は多様であるが、施設マネジメントという概念は幅広く理解されていることがわかった。しかしながら具体的な取組みについての情報が少なく、事例調査のほかに公共施設マネジメント推進に参考となる資料の作成を目指すこととする。 自治体ベンチマーキング手法の検討については、公会計情報を用いた自治体の現状把握及びベンチマーキング手法を提案してきた。究極の目的は自治体の保有するデータの分析及びそれに基づくベンチマーキングの実現であるが、公会計制度において総務省により自治体の台帳をベースとしたフォーマットの提案が行われると予想され、今後は統一された台帳によるデータの一元化及びベンチマーキングが期待できる。 地理情報システム(GIS)を用いた公共施設の適正再配置について、平成24年度にGIS上でデータ化した施設関連情報を用いて再配置シミュレーションを実施した。具体的には自治体の全施設を地図情報にプロットし、再整備対象施設の選定、再整備後の住民への影響程度評価、負の影響を緩和するための再整備の修正などを試行した。特に学校施設を対象に、年少人口変動状況に基づく学校需要の時系列シミュレーションを行い、公共施設の数又は規模縮小の際の影響評価を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の実施計画のうち、いくつかの項目は成果として査読付き論文あるいはシンポジウムでの発表を行った。自治体の参考となるような取組み事例集の作成に関しては、内容を深めて単なる事例集ではなく施設マネジメント推進のための総合的な参考資料を目指すことにした。現在まちまちである自治体の各種台帳のフォーマットを統一することに関しては、総務省により台帳ベースの公会計資料作成の基準が検討されているため、研究方向を一部修正し、公会計情報を用いた現状把握及びベンチマーキング手法提案した。 なお本研究の進捗と成果に関心を持つ地方自治体及び国内外の団体から招聘を受け、研究分担者が講演等を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究における今後の推進に関して、24年度の成果をみて一部方針の変更を行った。まず公共施設マネジメント取組み事例集については、単なる事例集ではなく、マネジメントプロセスを始めとする広範な情報を網羅した、施設マネジメント推進のための参考資料を目指すことにした。取組み事例はその中の一部として活用される。台帳フォーマットの標準モデル作成に関しては、総務省で推進している公会計の導入において、自治体の台帳をベースとした方式の改善が予想されるため、本研究のスタンスとしては公開される公会計情報を用いた現状把握手法、およびそれを用いたベンチマーキング手法等の提案を目指すことに重点をおく。あわせて自治体内での情報一元化のために、標準的なデータベース構築方法の提案も行いたい。
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