2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23360289
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
兵頭 健生 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70295096)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 康博 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20150518)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | ダイオード / ガスセンサ / 水素 / ショットキー障壁 / ヘテロ界面 / 湿度 / 酸素分圧 |
Research Abstract |
近年,化石燃料に代わる次世代エネルギーとして水素が注目されている。しかし,水素は爆発範囲が広い可燃性気体であり,安全に利用するには高感度かつ高速で応答回復可能な水素センサが必要である。本年度は,AuをPt電極上に堆積した電極を陽極酸化チタニア膜表面に取り付けたダイオード型ガスセンサ (Au/Pt/TiO2) を作製し,Auコーティングが可燃性ガスの検知特性に与える影響を評価した。また,ガス分離膜として知られているポリマーをPd-Pt合金を電極としたPd-Pt/TiO2センサの電極上にコーティングすることで,水素応答特性を改善することを目的とした。 まず,Au/Pt/TiO2のAuコーティング量を変えて特性を評価したところ,スパッタリング時間が3分の素子 (Au(3)/Pt/TiO2) が最大の水素応答値を示した。Auの水素酸化活性はPtより低いため,Pt電極表面でのH2の酸化消費量が減少して電極内への水素溶解量が増加したため,応答値が増加したと考えられる。ただし,Auコーティング量が多すぎると,電極への水素溶解量自体が低下するため,水素応答値は大きく減少した。一方,これらの素子のプロペンおよびプロパンに対する応答を評価したところ,Auコーティング時間が長くなるほど単調に減少した。その結果、Au(3)/Pt/TiO2が水素に対して最も高い応答を示すとともに、C3H6やC3H8のような可燃性ガスに対して最も高い選択性を示すことがわかった。 一方,Pd-Pt電極表面に種々のポリマーをコーティングしたところ,ポリイミドをコーディングすることで空気中および窒素中の水素応答値が改善されること,ポリテトラフルオロエチレンやエチレンビニルアルコール共重合体をコーティングすると水素応答に及ぼす湿度の影響(空気中)を軽減することなどを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Auを電極表面にコーティングすることで,①極めて高い水素応答,②プロパンなど他の可燃性ガスに対して極めて高い水素選択性,③酸素濃度変化に対して比較的低い依存性,④湿度に対して極めて低い依存性,を示すことを明らかにすることができた。 また,ポリマーを電極表面に被覆することで,センサ特性をドラスティックに変えることができること,ポリマーの種類と膜厚をコントロールすることで大きく水素応答特性を改善できることを明らかにすることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
Auコーティングが劇的に様々な水素応答特性を改善する理由を明らかにする。Au量やAuのコーティング状態,Ptとのヘテロ界面の状態(合金化の有無)などの詳細を分析し,水素応答特性とAuコーティング状態との関係を明らかにするとともに,そのAuコーティング状態を最適化する。更にそのうえで,ポリマーを最適化して被覆することで,更なるセンサ特性の改善を狙う。 また,Auコーティングの他にも,様々な酸化物の薄膜をPt(あるいはPd-Pt合金)電極にコーティングし,その特性を評価する予定である。
|