2011 Fiscal Year Annual Research Report
結晶磁気異方性に基づくゼオライト細孔の配向性制御と高度ガス分離用緻密配向膜の創製
Project/Area Number |
23360290
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松田 元秀 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (80222305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
打越 哲郎 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端材料プロセスユニット, グループリーダー (90354216)
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Keywords | ゼオライト / 配向 / 磁場印加プロセス / ガス分離 |
Research Abstract |
本年度は、使用ゼオライトの合成、本年度主な検討対象としたモルデナイトゼオライトの磁化容易軸と磁化困難軸の調査、ならびに得られた知見に基づきモルデナイトが配向した前駆体膜を作製するための磁場印加条件の検討を主に実施した。以下に得られた研究成果の概要を記す。 ・主な検討対象としたモルデナイトに加え、b軸に沿って細孔を有するMFI型並びにc軸に一次元細孔を有するL型ゼオライトの合成を検討し、モルデナイト合成では、化学組成6Na_2O-Al_2O_3-30SiO_2-780H_2Oの反応溶液を用いると、モルデナイト粒子が多数析出し、一方水組成を3000程度まで増やした反応溶液では顕著な結晶析出は起きないことがわかった。また、MFI型では、合成時に用いた構造指向材は300℃付近での熱処理で除去可能であることがわかった。 磁場中成形のため、ゼオライト粒子高分散懸濁液の調製を検討した結果、粉末のボールミル処理ゼオライトの非晶質化を誘発してしまうことが明らかになった。また、出発粉末の沈降分離による分級処理が懸濁液の分散性向上に効果的であうことがわかった。 ・調製したゼオライト粒子高分散懸濁液を用いて、磁場中成形を行うことによって、モルデナイトの配向体を作製することができた。X線回折による検討から、モルデナイトは静磁場印加の下磁場印加方向に対してb軸配向性を示すことがわかった。また、回転磁場環境下ではc軸配向性を示すことも明らかになった。これらの結果から、モルデナイトの磁化容易軸はb軸、磁化困難軸はc軸であることが明らかになった。 ・印加磁場強度の影響を調べた結果、6T以上の磁場印加でモルデナイトの配向性が向上することがわかった。 ・L型に関しても、磁化容易軸および磁化困難軸の検討を行ったが、本年度中にその特定には至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度、テルデナイトを主な研究対象とし、その磁化容易軸と磁化困難軸を明らかにでき、配向体作製にも成功したものの、その薄膜化を進めると配向性が著しく低下する結果が得られ、配向性を有す薄膜の作製には至らなかったので、現在までの達成度はやや遅れていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、モルデナイトに関する検討を深化させながら、本プロセス技術の有用性を明示する目的で、他のタイプのゼオライトに対しても検討を加えていく予定である。また、薄膜化に関しては、プロセス中に起きる現象をまえながら、薄膜化条件を変え検討を進める予定である。
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