2012 Fiscal Year Annual Research Report
クロスリンクハイブリッド磁性粒子による高性能電磁波吸収体の開発
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23360298
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杉本 諭 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10171175)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 電磁波吸収体 / ナノ粒子 / 鉄系アモルファス / フェライト / 透磁率 / 反射損失 |
Research Abstract |
1.目的:近年,GHz帯域での電磁波障害が社会問題となり,この周波数帯域で機能できる電磁波吸収体が望まれている。しかし高周波域になると渦電流が発生して透磁率などの磁気特性が劣化するため電磁波吸収材料には,高い電気抵抗が必要とされている。本研究では化学的方法により比透磁率の高い強磁性アモルファスサブマイクロ粒子を作製し,さらにその表面をNiZnフェライトナノ粒子でコートしたハイブリッド粒子を用いて高周波域で機能する電磁波吸収体を目指す。本年度は,強磁性アモルファスFe-Bサブマイクロ粒子(AFBS)とNiZnフェライトナノ粒子(NZFN)を混合することで高い透磁率を有する複合体の作製を試みた。 2.実験方法:直接還元法によりAFBS粒子,加水分解法でNZFN粒子を作製した。これらの粉末をPVP存在下の溶液中で混合した後,圧粉,熱処理してトロイダル状に成形した。磁気特性の測定にはVSMとネットワークアナライザーを用いた。また組織観察にはXRD,SEM,TEMを用いた。 3.結果と考察:(1)NiZnフェライトを10mass%以下で混合すると透磁率は増加した。(2)15mass%以上では凝集が生じ複合体内で反磁場低減の効果が表れなかった。(3)結果的に5mass%の試料においてμr'=10なる高い比透磁率の実部が得られた。(4)この複合粉末の樹脂複合体において厚さ2.4~3.9mmの厚さとしたとき,反射損失RL<-20dBなる高い電磁波吸収特性が得られた。(5)特に厚さ3.0mmの時に0.9GHzでRL=-47dBの最小値を得た。(6)さらに周波数と厚さの積であらわされる薄型化の指標であるfd積は,既存の電磁波吸収体よりも小さい値を示した。(7)以上より,本研究で作製した複合粉末樹脂複合体は薄型電磁波吸収体として有効であると判断される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
従来の報告における透磁率よりも高い特性をもつ強磁性アモルファスFe-Bサブマイクロ粒子が作製でき,NiZnフェライトのナノ粒子の特性も良好であった。また,両粒子を混合した複合粉末を用いて作製した樹脂複合体において,高い電磁波吸収特性も得られた。またその樹脂複合体の厚さも既存の電磁波吸収体より薄型となる可能性も示唆された。さらに数件の学術論文の執筆している。以上より,当初の計画以上に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度で強磁性アモルファスFe-Bサブマイクロ粒子とNiZnフェライトのナノ粒子の混合による複合粉末を用いた樹脂複合体で高い電磁波吸収特性が得られたので,混合による作製方法も確立したといえる。したがって次年度はさらに高性能な電磁波吸収特性を目指して,両粒子を結合させ,NiZnフェライトナノ粒子がコートした強磁性アモルファスFe-Bサブマイクロ粒子を作製するとともに,その樹脂複合体も作製して磁気特性,高周波特性,組織の関係を調べていく。現時点では,次年度に向けての支障はないと判断される。
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Research Products
(3 results)