2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体医療用コバルト合金における粒界からのイプシロン-マルテンサイト形成機構の解明
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23360299
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小泉 雄一郎 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (10322174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 晶彦 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (00197617)
松本 洋明 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (40372312)
李 云平 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (80546862)
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Keywords | バイオマテリアル / Co-Cr-Mo合金 / 双晶 / 界面 / 相変態 / マルテンサイト / フェーズフィールド法 / 偏析 |
Research Abstract |
ひずみ誘起マルテンサイト変態(SIMT)の制御による生体医療用コバルト合金高性能化を目指し、SIMT発現への双晶界面(TB)の影響を調べた。具体的には、光学式浮遊帯域法を用いてCo-28Cr-6.5Mo合金(mass%)結晶を育成し、TBに平行なせん断変形が生じる荷重軸で室温にて圧縮変形した。圧縮前および塑性ひずみ8%における結晶方位ならびに相の分布を、TB近傍での結晶回転およびSIMT発現に着目し測定した。また、変形後のTB近傍の透過電子顕微鏡観察も行った。さらに、変形後の内部応力分布を、Wilkinson法により精密測定し、偏析によるTBでの相安定性変化もフェーズフィールド計算により調べた。例えば、塑性ひずみ8%までの圧縮変形後には、双晶の内側と外側とで異なるすべり系が活動するとともに、TB近傍での優先的なε相形成が確認された。そのε相を透過電子顕微鏡にて観察したところ、ε相の成長は連続的ではなく離散的に進行することが分かった。また双晶の両側の二つのTBでε相の厚さは明確に異なった。さらにTBから少し離れた箇所にもε相の優先形成が認められた。その原因として双晶界面での塑性不適合に起因する内部応力を検討し、Wilkison法による内部応力解析を行った結果、厚いε相が形成された界面ではSIMTを助長する応力場が、薄いε相しか形成されなかった界面にはSIMTを抑制する応力場の存在が確認された。熱処理における構成元素のTBへの偏析と相安定性の変化をフェーズフィールド計算により評価した結果、TBの局所的なhcp構造の積層構造に起因する化学ポテンシャルによってhcp安定化元素であるCr,Moの偏析が生じTBでのε相安定性が増すことで、SIMTが生じ易い状態にある事が示された。この結果から、SIMT発現の制御には、TB分布の制御に加え、γ相単相化中の偏析の制御も重要なこと示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東北地方太平洋沖地震ならびにその余震の影響により結晶育成に困難があったももの、装置等に大きな被害がなく概ね順調に進める事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定どおり、前年度調べた塑性変形中のひずみ誘起マルテンサイト変態(SIMT)への双晶界面の影響をふまえ、種々の粒界のSIMTへの影響を、双晶関係からのずれ各に注目して調べる。また、前年度の研究成果により、SIMT発現に対して変形応力の正負の重要性が示されたことから、予定を少し変更し往復荷重化でのSIMT挙動について、実際の使用環境にも近い繰り返し応力や摩擦摩耗環境下でのSIMTとそれに対する粒界の影響についても調べる。
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Research Products
(7 results)