2011 Fiscal Year Annual Research Report
高性能バイオマテリアルとしてのカーボンナノチューブ複合セラミックスの開発
Project/Area Number |
23360303
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Structural/Functional materials
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
樽田 誠一 信州大学, 工学部, 教授 (00217209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 直人 信州大学, 医学部, 教授 (80283258)
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Keywords | カーボンナノチューブ / アルミナ / 複合体 / 機械的性質 / 骨伝導性 / 発泡体 / 微構造制御 / 生体材料 |
Research Abstract |
1.カーボンナノチューブ(CNT)により強化したアルミナセラミックスの開発 CNTを酸処理すると、その酸処理時間が長いほど欠陥量の多いCNTが得られた。それら欠陥量の異なるCNTを0.4~1.6wt%添加した複合体は、HIP処理やプラズマ焼結することで、相対密度98~100%にまで緻密化した。緻密な複合体の微構造は、より低温で焼結した場合、CNTの欠陥量に影響を受けなかったが、より高温で焼結した場合、CNTの欠陥量に影響を受けた。その微構造の違いにより、複合体の電気伝導度にも違いが現れた。また、その複合体の破壊靭性は、あるアルミナ粒径で最大を示した。その最大値は、CNTの欠陥量が多いほど小さく、より大きなアルミナ粒径で現れた。これらの結果から、アルミナとの親和性が高く、強度の高いCNTを用いれば、複合体の破壊靭性はより向上すると示唆された。繊維径の細いCNTを複合化した結果、微細な微構造の複合体が得られた。 2.CNT複合アルミナセラミックスの骨伝導化 緻密なCNT/アルミナ複合体を研磨および濃リン酸中で加熱処理を施した後、擬似体液(1.5SBF)中に1週間浸漬した。その結果、ある特定の条件で研磨および加熱処理した複合体に限り、アパタイトと考えられる粒子が複合体に析出した。また、それは複合体だけでなく、アルミナ焼結体でも析出した。一般に、アルミナにはそのような析出はないとされており、この結果は、これまでの常識を覆す結果ともいえる。 3.CNT3次元構造体の構築と骨類似アパタイトとの複合化 CNTを10wt%として水ガラスと混合し、300℃で加熱すると、CNTが比較的均一に分散した発泡体が得られた。この発泡は添加する水の量にも影響を受けた。この発泡体を擬似体液に浸漬したが、溶解し、in vitroでの生体適合性の評価はできなかった。その溶解の防止と気泡径制御が今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の交付申請書に記載した研究実施計画の内容について、得られた結果は必ずしも予測していた結果とはならなかったが、おおむね実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.カーボンナノチューブ(CNT)により強化したアルミナセラミックスの開発 繊維径の異なるCNTをアルミナへ複合化した場合の、複合体の微構造変化および破壊靭性と微構造の関係を詳細に検討する。また、CNT/アルミナ複合体の機械的強度が低下する本質的な要因を解明する。 2.CNT複合アルミナセラミックスの骨伝導化 CNT/アルミナ複合体およびアルミナ焼結体が骨伝導性を示すようになる表面処理条件を明らかにする。 3.CNT3次元構造の構築と骨類似アパタイトとの複合化 CNT/水ガラス発泡体が擬似体液中で溶解しないよう、さらにアパタイトなどを添加し発泡体を作製する。
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Research Products
(16 results)