2011 Fiscal Year Annual Research Report
その場観察と計算科学を駆使したナノポーラス金属の孔径制御ダイナミクス解明
Project/Area Number |
23360305
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
馬渕 守 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (00358061)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 裕美 豊島技術科学大学, 研究基盤センター, 准教授 (00319500)
|
Keywords | ナノ材料 / 電子顕微鏡 / 結晶成長 |
Research Abstract |
透過電子顕微鏡(TEM)観察用ナノポーラス金属の創製プロセスを検討した。スパッタリングによりAu-Ag、Pd-Co、Ni-Mn等のナノポーラス金属の出発合金の薄膜を形成するにあたり、スパッタリング装置を導入し、まずはAu単体でのスパッタリング速度を測定・適宜調整した。これにより膜厚の測定がレーザ顕微鏡で大まかに行える見通しがついた。また、その場観察TEM試料の比較対象とするために、通常のバルク材で用いられるイオンミリング等でTEM試料を作製し、ナノポーラス金属のTEM写真を撮影した。さらにナノポーラス金属の熱処理による孔径粗大化の再現性の確認のために高温昇温炉を導入し、作動環境を整備した。その他、電気化学実験により、比較的新しい材料であるナノポーラスPdおよびナノポーラスNiの形成、および熱処理による孔径粗大化を確認した。 上記とは別に、大規模第一原理計算および分子動力学計算に用いる計算環境の整備を整えた。京都大学化学研究所のスパコンシステムに効率よくアクセスする目的で第一原理計算ソフト・分子動力学計算ソフトを稼働するパソコンを準備し、ネットワークの整備、さらには金属表面における分子の吸着エネルギー計算など、一部の計算を開始した。 予備計算の結果から、ナノポーラス金属特有の表面格子ひずみや残留元素の影響が分子の吸着エネルギーに大きく影響することが明らかとなった。これはナノポーラス金属の表面特異性が、触媒特性や電極特性など表面で起こる現象に端的に表れることを示唆する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目は装置・計算環境の整備や製膜速度等の基礎事項の把握を目的としており、それらはおおむね達成されている。
|
Strategy for Future Research Activity |
第一原理計算によりナノポーラス金属表面の特異性が顕著であることが示唆されたため、研究計画の軽重を変更し、触媒特性等、ナノポーラス金属の表面特異性が端的に表れる特性についても検討する。
|