2012 Fiscal Year Annual Research Report
鉄鋼材料の結晶粒微細化強化に関する合金設計の見直し
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23360310
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高木 節雄 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90150490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土山 聡宏 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40315106)
中田 伸生 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50380580)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | 鉄鋼材料 / 結晶粒微細化強化 |
Research Abstract |
昨年度では様々な添加元素の結晶粒微細化強化の強化係数の影響を調査した。その中では特にFe-C系合金が顕著に強化係数を上昇させることが判明し、また置換型合金ではFe-Ni系合金が寄与していることが判明した。本年度はそのメカニズムを解明する足掛かりとして特に「粒界偏析」に着目して、その直接観察と粒界偏析量の定量評価について調査することを目的とした。 粒界偏析の観察手法としては3次元アトムプローブを用いており、新日鐵住金㈱(元新日鐵㈱)において炭素・窒素の粒界偏析を直接観察することに成功している。その結果 再結晶焼鈍直後の試料においては炭素の方が窒素よりも粒界偏析が顕著である事が判明した。この結果はFe-C系合金の方がFe-N系合金に比べ、結晶粒微細化強化への影響が大きいという引張試験からのデータとよく一致している。本年度では再結晶焼鈍後更に100℃程度で時効を施すことで、Nの粒界偏析量が増加するという結果を得た。併せて行った引張試験により、時効したFe-N系合金において強化係数が上昇していることも判明した。また炭素と窒素を合わせた粒界偏析量と強化係数には相関性があることが判明した。このことは炭素と窒素の結晶粒微細化強化係数への影響はほぼ同等であると理解することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度においては3次元アトムプローブにより炭素と窒素の時効に伴う粒界偏析挙動の変化について定量的な結果を得ることができ、またその粒界偏析量は強化係数に強い相関性を有していることが判明した。この結果は当初の計画において予想通りの成果であると言える。その為、研究の進展を考えると②おおむね順調に進展している が妥当であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度は炭素・窒素以外の各種合金元素(Si、Mn、B等)の強化係数に及ぼす影響を、粒界偏析にも着目しつつ調査する。また、ナノインデンテーションを用いた粒界近傍の硬さ測定を行い、粒界強度を実測することで、粒界偏析による粒界強化機構の詳細な調査を行う。以上の結果を踏まえ、各種合金元素の固溶強化能と結晶粒微細化強化係数に関するデータベースの構築を最終目標とする。
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Research Products
(3 results)