2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23360319
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
若井 史博 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (30293062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 豊 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教 (30323843)
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Keywords | 焼結 / セラミックス / 粒界拡散 / 粒界エネルギー / 異方性 / 金 / 集束イオンビーム |
Research Abstract |
本研究は収束イオンビーム(FIB)により加工したミクロ試験片を用いた直接計測により単一粒界の焼結の動力学を探求することを、目的とする。本年度は面心立方格子をもつ金(Au)をモデル材料として用い、単一粒界に作用する焼結力と粒子運動の計測技術の開発を行った。 試料には金箔リボン(Au,純度99.99%,厚さ10μm)を用いた。900℃で熱処理し,平均粒径25μmまで粒成長させた後,集束イオンビーム加工(FIB)により単一粒界をもつ微小試験片を製作した。表面にカーボンナノロッドを蒸着し,位置測定の基準とした。試験片に真空中,750℃で熱処理を繰り返し,結晶粒の回転・収縮量の時間変化を測定した.結晶粒の方位関係は後方散乱電子線回折像(EBSD法)で決定した。 焼結中の粒子間距離の収縮量につれて,回転角も増加した.いくつかの試験片では特定の方位で回転が停止した。粒界エネルギーは方位に依存し,粒子回転は粒界エネルギーを減少する方向に起こるため,回転の停止は特定方位で粒界エネルギーが最小となることを示した。3次元コンピュタシミュレーションにより、収縮と回転をそれぞれ焼結力とトルクに対する応答として解析した。Auに対するモデル実験結果とシミュレーション結果とを比較することにより、表面エネルギーと方位角との関係を表す曲線を決定するとともに、粒界拡散係数を推定した。さらに、ミクロ試験片の形状変化をもとに表面拡散係数を測定する手法を新たに提案した。Auの表面拡散係数はカーボン蒸着に影響され,抑制されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、従来に例をみないミクロ試験片による単一粒界実験に成功するとともに、3次元シミュレーション手法と組み合わせることにより、当初計画以上の成果が得られた。この成果は当該分野で最も重要なジャーナルであるActa Materialiaに投稿し、非常に迅速にアクセプトされ、すでに掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,より精密な測定のためには,試験片加工精度の向上,位置測定精度の向上,加熱炉の雰囲気制御が必要である。
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Research Products
(9 results)