2012 Fiscal Year Annual Research Report
統合型誘電率設計手法を用いた極低消費電力素子のナノ材料プロセスの研究開発
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23360321
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
江利口 浩二 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70419448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斧 高一 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30311731)
鷹尾 祥典 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80552661)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | プラズマ / 欠陥 / 誘電率 / 電気容量 / 分子動力学 / 変調反射率分光 |
Research Abstract |
シリコン系材料を中心に以下の結果を得た. (A)誘電率解析システムのプラズマ装置への統合~in-situ化,(B)表面反応層形成過程モデリングのための計算コードの改良. 上部電極が誘導型(ICP)/容量型(CCP)への切替えが可能なプラズマ装置に,変調反射率分光システム(PRSシステム)を取り付け,従来の大気暴露による表面層の誘電率変化への影響を排除する計測システムを完成させた.ex-situ解析については,Siへの,Ar,He,Xeなどのプラズマ処理に対して,PRS解析及び電気容量解析により,原子種による表面構造変化の違いのモデル化を進めた.欠陥の深さ方向の違い,表面変質層の除去効率の違いを実験的に評価した.現在,プラズマパラメータと表面層構造の定量的物理モデルの構築を進めている.また,(B)については,①分子動力学計算(MD)を用いて,上記(A)の原子種による構造変化の違いをモデル化した.また,欠陥解析コードを用いた欠陥構造モデルによって,前述した欠陥の深さ方向の違い,表面変質層の除去効率の違いを明らかにした.さらに,それらの電気特性(電気容量C)変化の違いも1/C2法を用いて明らかにした. 一方,実プロセスを想定した,欠陥構造回復過程の微視的モデル化のための実験にも着手した.プラズマ処理で形成される変質層の回復過程は,従来の熱処理パラメータのうち,時間や総熱量よりも温度が支配的である事実を実験的に検証した.現在は,これらの過程に対する計算科学からのアプローチを進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2つの大きな枠組のうち,プラズマによる表面反応層形成過程モデリングについては,計算コード(分子動力学法,欠陥形成コード)の改良は大きく進展した.その結果,希ガス系に対する実験結果(表面反応層構造,除去効率)に対する妥当性を検証することができた.また,分子動力学法を用いて,将来有望視されている超低消費電力デバイスを目指した3次元構造のトランジスタに対し,プラズマ暴露されたときの3次元構造特有の課題抽出を行うことができた.一方,光解析システムin-situ化については,ようやく実験に着手できた段階である.現在は,光解析システムの高精度・高感度化を並行して進めている.ともにおおむね計画通りに進捗していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の構築したin-situ光解析システムを用いて,表面反応層形成過程モデルの構築を目指す.具体的には,ガス種(He,Ar,Xe),バイアス周波数依存性などに着目し,種々のプラズマ処理時における表面誘電関数変化を,in-situシステム中心に計測する.大気暴露による表面構造変化過程をあわせて理解することにより,実用的観点からの(特に3次元構造Siデバイスに対して)プラズマプロセス設計手法の提案を目指す.さらに,Si以外の種々の材料に対して実験を展開し,プラズマ処理時における表面構造変化を,誘電率変化という視点から体系的に理解し,誘電率変調(制御)が可能なプロセスの構築を目指す.一方,分子動力学法,量子化学計算による計算と前述した実験との整合性を検討することで,超低消費電力デバイスのための最適設計手法の構築を目指す.分子動力学法においては,各原子のポテンシャルモデルや熱処理過程アルゴリズムを改善することで,実験結果との整合性を確保し,その計算精度の向上を目指す. これらプラズマ処理による表面構造変化の理解を通して,例えば生体親和性の高いプラズマ表面処理プロセスや,SiCなどのパワーデバイス材料,超低消費電力デバイスを目指したSOI構造や3次元構造とプラズマとの統合型相互作用モデルの実現を目指す.
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Research Products
(10 results)