2011 Fiscal Year Annual Research Report
還元反応を利用したナノ粒子その場生成による低温接合法の開発とマイクロ接合への適用
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23360322
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
廣瀬 明夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70144433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 智一 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30314371)
小椋 智 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (90505984)
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Keywords | 材料加工・処理 / 接合 / ナノ材料 / 焼結 / 高密度実装 / 還元反応 / 有機溶剤 |
Research Abstract |
平成23年度においては、貴金属化合物の還元溶剤による還元過程とナノ粒子生成・焼結挙動について、検討を行った。その結果、酸化銀や酸化銅は、ヒドロキシル基を有する溶剤で還元可能であり、ポリエチレングリコール系溶剤で酸化銀を還元する場合、100~150℃で酸化銀の還元反応を生じ銀ナノ粒子が生成することが分かった。また、溶剤の分子量が小さくなるほどその還元温度が低温化して、低温からナノ粒子の生成が可能であることも分かった。これは、単位体積当たりに含まれる官能基数が、低分子量の溶剤ほど多くなるためであると推察された。加熱に伴うナノ粒子の生成・焼結挙動は大きく3段階の過程で進行することが分かった。第1段階は酸化銀分解反応によるピークより低温度域で生じ、酸化銀の表層でわずかに分解反応が起こり10m以下の銀ナノ粒子が生成し始める。次の段階は残りの酸化銀が分解して銀ナノ粒子が生成し焼結するプロセスであるが、この焼結過程は一旦停滞する。これは焼結層に残留した有機成分の影響であり、250℃より高温側に加熱することで有機成分が分解すると再び焼結が進行する。第1段階の焼結時に生成する10nm以下のナノ粒子は大きな焼結駆動力を有するため、最終的なナノ粒子の焼結性はこの第1段階のナノ粒子の生成量が多くなるほど向上することが明らかとなった。ポリエチレングリコール系溶剤で酸化銀を還元する場合、ジエチレングリコール(DEG)を用いた場合に第1段階でのナノ粒子生成量が多く、高い焼結性を示すことが分かった。これらのペーストを用いて接合実験を行った結果、DEGペーストが最も低温、低加圧での接合性に優れ、接合温度250℃、接合加圧力5MPaの条件下で引張強さ50MPaを超える接合強度が得られることが分かった。これは、同条件で接合した有機-銀複合ナノ粒子を用いた接合材の強度を上回った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的である還元溶剤による酸化銀の還元過程とナノ粒子生成・焼結挙動を明確化し、接合性の高い還元溶剤を見い出すことができた。また、目標とした接合強度も達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の研究計画に基づいて、平成23年度において選定された金属酸化物/溶剤混合ペーストを用いて、各金、銀、ニッケル、銅、アルミニウム、シリコンなどの種被接合材に対する接合性評価とその接合機構の解明を行うと共に、接合プロセスの最適化によりさらに低温、低加圧での接合強度の向上を目指す。
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Research Products
(13 results)