2012 Fiscal Year Annual Research Report
還元反応を利用したナノ粒子その場生成による低温接合法の開発とマイクロ接合への適用
Project/Area Number |
23360322
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
廣瀬 明夫 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70144433)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 智一 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30314371)
小椋 智 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90505984)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 接合 / ナノ材料 / 界面制御 / 高密度実装 / 材料加工処理 / 還元反応 / 有機溶剤 / 焼結 |
Research Abstract |
平成24年度においては、分子量の異なるエチレングリコール系還元溶剤を用いた各種酸化銀ペーストを用いて銅、ニッケルおよびアルミニウムを接合し、接合性に及ぼす溶剤種の影響を評価した。その結果、接合過程で酸化皮膜の還元が可能な銅およびニッケルではポリエチレングリコール400(PEG400)で、酸化皮膜が還元されないアルミニウムではジエチレングリコール(DEG)で最も高いせん断強度が得られた。銅およびニッケルでは分子量の大きいPEG400が高温まで接合層内に残留し、基材表面に形成されている自然酸化皮膜を還元することにより、銅およびニッケルと焼結銀との直接接合が達成された。一方、アルミニウムでは、アルミニウム酸化皮膜上に銀が焼結することにより接合を達成しており、低温からナノ粒子を生成して高い焼結性を示すDEGを用いることで、焼結銀層の緻密化により接合面積が増大し、せん断強度が増加することがわかった。 これらの結果を受けて、銅の接合において、より分解温度の高いポリエチレングリコール1000(PEG1000)を粘性調整用のアルコール系溶剤で希釈した溶剤を用いると、余剰溶剤の残留による加圧時のペーストの排出を防ぎ、PEG400より緻密な焼結銀層を形成することができた。これにより、銅基材全体で銅と銀の直接接合を達成し、38MPaのせん断強度が得られた。また、アルミニウムの接合においては、より還元温度の低いエチレングリコール(EG)とDEGの混合溶剤を用いることで、EGが室温から酸化銀を還元し、それに伴い酸化銀粒子および銀ナノ粒子の再配列が生じ、より緻密な焼成銀層を形成することで10MPaのせん断強度が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は主として各種金属の接合性に及ぼす還元溶剤の影響を明確化すると共に、溶剤選定の指針を示すことを目的とした。その結果、エレクトロニクス分野での代表的な材料である銅、ニッケルおよびアルミニウムにおいて、接合強度評価と破壊形態、破壊機構の解析により、これらの金属に適合する還元溶剤選定の指針を明らかにすることができ、これによりほぼ目標とする接合強度が達成できた。この指針は、その他の金属やセラミックスにおいても拡張可能であり、概ね順調に研究が進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでに得られた知見に基づき、各種被接合材料に対して、接合温度、接合加圧力、ペースト組成をパラメータとして接合強度、信頼性の観点から接合温度の低温化、接合加圧力の低加圧化に対する接合条件の最適化を行う。また、MDシミュレーションとナノレベル組織解析から接合過程と接合機構を明確化して、接合プロセスの最適化に対する知見を得ると共に、本接合法の学術的基盤の構築に資する。さらに、パワーデバイスなどのエレクトロニクス実装への摘要を想定して、模擬試験片やデバイスの接合に本プロセスを適用し、初期並びに長期信頼性評価を行うことで実用性の検証を行う。
|
Research Products
(23 results)