2011 Fiscal Year Annual Research Report
シングルナノ粒子の複合化ボトムアップによる3次元界面機能デザイン
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23360323
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿部 浩也 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (50346136)
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Keywords | ナノ粒子 / 複合化 / アセンブリ / 多孔体 / 三相界面 |
Research Abstract |
固体酸化物形燃料電池(SOFC)に代表される電気化学関連のエネルギーデバイスにおいて、多くの場合、機能発現の場は二つの異なる固体と気相が交わる界面(三相界面)近傍であり、三相界面の増大がデバイスの高性能化をもたらす。三相界面の有効な増大はそれら異なる二つの固体がナノスケールにまで微細化し、さらにそれらが三次元の多孔質なネットワーク構造を形成することで可能になる。このナノ複合多孔構造を具体的に作り上げるプロセス技術として、本研究ではシングルナノ粒子を用いた複合化ボトムアッププロセスの開発を行う。さらに、高活性なSOFC複合電極の創製も試みる。平成23年度は化学溶液法によって合成した8mol Y_2O_3ドープZrO_2(YSZ)のシングルナノ粒子をモデル粒子として、複合化ボトムアッププロセスの基礎的検討を実施した。まず、シングルナノサイズのYSZ粒子の水中での分散凝集挙動を調べ、高いイオン強度下における溶媒和力と分散安定性、およびフラクタル凝集性とゲル化能などについての知見を得た。次に、3次元的網目状に凝集させたYSZ粒子上に金属塩を析出させ、それを熱分解させるアプローチで、ナノ複合粒子の合成を試みた。その結果、二つの粒子相がほぼ均質に配置するNiO-Ysz複合ナノ粒子を合成することができた。さらに、このNio-YSZ複合ナノ粒子の多孔質アセンブリと選択還元により、SOFCアノードとなるNi-YSZ多孔質電極を作製した。このアノードは三相界面の増大により、従来技術と比べてより高いアノード性能を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の主な研究目的は、「シングルナノ粒子の分散凝集挙動の解析等を通して、シングルナノ粒子を用いた複合化ボトムアッププロセスの開発を行うこと」であった。「9.」で示したように、この目的は概ね達成されており、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度はシングルナノ粒子の3次元ネットワーク構造の形成、並びにそのネットワーク構造上への異相ナノ粒子の複合化プロセスに関する検討を進める。さらに、複合ナノ粒子の積層化による機能性複合多孔膜の作製と評価も試みる。また、ナノシートなどの異方性ナノ粒子の分散凝集挙動の解析等を行い、複合化ボトムアッププロセスに必要なコロイド技術の確立を試みる。
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