2012 Fiscal Year Annual Research Report
シングルナノ粒子の複合化ボトムアップによる3次元界面機能デザイン
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23360323
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿部 浩也 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (50346136)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / 複合化 / 三相界面 |
Research Abstract |
固体酸化物形燃料電池(SOFC)に代表される電気化学関連のエネルギーデバイスにおいて、多くの場合、電気化学反応場は二つの異なる固体と気相が交わる界面(三相界面)近傍であり、機能界面のデザインや三次元集積などがそれらデバイスの高性能化をもたらす。そこで本研究では、3次元界面機能デザインに資する複合化ボトムアッププロセスの開発を目的としている。平成24年度は平成23年度に得られたシングルナノ粒子の分散凝集特性に関する知見に基づいて、溶媒中でのそれらシングルナノ粒子のゲル化(3次元ネットワーク構造の形成)、並びにそのネットワーク構造上への異相ナノ粒子の複合化プロセスに関する検討を進めた。具体的には、YSZシングルナノ粒子が完全分散した水系コロイドに金属イオンを共存させ、この状態からYSZゲル骨格上に、第二ナノ相を複合化する方法について検討した。さらに、得られた複合ナノ粒子の微構造解析を行うとともに、複合ナノ粒子を用いた機能性多孔体の作製も試みた。モデル材として、SOFCカソード材料であるYSZ-とLa0.2Sr0.8MnO3 (LSM) の複合ナノ粒子の合成を試みた。その結果、YSZとLSMの粒子相がほぼ均質に配置し、且つ両者の3次元的なネットワークを有する複合構造を得た。このYSZ-LSM複合ナノ粒子をスラリープリンティングと焼成により3次元集積してSOFCのYSZ-LSMカソードを作製した。100nm程度の結晶粒から構成される、3次元に拡張した三相界面がこのカソードに形成され、従来技術と比べてより高いカソード性能が観察された。また、ナノシートなどの異方性ナノ粒子の合成、並びにそれらの分散凝集挙動の実験的検討も進め、本研究の複合化ボトムアッププロセスに必要なナノ分散・凝集技術に関する知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度はシングルナノ粒子とナノチューブやナノシートなどの異方性ナノ粒子の分散凝集挙動の解析等を行い、本研究の複合化ボトムアッププロセスに必要な分散技術の確立を目指すとともに、水溶媒中でのそれらナノ粒子の3次元ネットワーク構造の形成、そしてそのネットワーク構造上への異質ナノ粒子複合化プロセスに関する基礎的検討を進めること、さらに、複合ナノ粒子の積層化による機能性複合多孔膜の作製と評価を行うことを目的とした。【研究実績概要】で示したように、これらの研究目的は概ね達成されており、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は前年度までに得られた知見に基づいて、シングルナノ粒子の複合化ボトムアッププロセスの確立を進めるとともに、このプロセス技術をSOFC電極の3次元機能界面構築に展開するとともに、その電気化学特性等の解析を進めることにより、ナノスケールの3次元界面機能デザインに関する知見を得ることを目的とする。後者においては、シングルナノ粒子の複合化ボトムアッププロセスにて得られる複合ナノ粒子を用いてSOFC電極を作製する上で必要なプロセス開発を行う。具体的には、コロイドプロセスを用いて複合ナノ粒子を集積・厚膜化する湿式コーティングプロセス、および電極形成のための焼結プロセスの検討を行う。さらに、作製されるSOFCデバイスの微構造解析、並びに電気化学特性評価を行いことにより、本プロセスで新規に創製されるナノ複合多孔体の3次元構造と機能特性との関係を明らかにする。
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