2011 Fiscal Year Annual Research Report
単結晶アルミニウムを用いた摩擦関与接合現象の機構解明
Project/Area Number |
23360324
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
柴柳 敏哉 富山大学, 理工学研究部(工学), 教授 (10187411)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 誠 大阪大学, 接合科学研究所, 講師 (10294133)
|
Keywords | 単結晶アルミニウム / 摩擦攪拌スポット接合 / 結晶方位分布 / 塑性流動 / 高温変形 / 温度 / 応力 / ひずみ速度 |
Research Abstract |
摩擦攪拌接合は材料学的には高温変形の範疇に属する塑性変形を基調とした金属材料の固相接合技術である。材料科学の観点から本接合法を理解し、個々の素材に最適な接合パラメータを科学的根拠を与えながら策定するためには接合中の素材の変形挙動を体系的に整理する必要がある。 本研究では、「摩擦現象が関与する接合において接合ツール周囲での高温塑性流動とその影響を反映した界面組織形成過程の体系的な理解」を主題とし、摩擦圧接,摩擦攪拌スポット接合ならびに摩擦攪拌接合における温度,応力,ひずみ速度の測定,接合材の結晶方位分布を中心とした組織解析を単結晶アルミニウムを用いて実施し、さらに塑性流動可視化実験による知見も取り入れて接合中の塑性流動・変形機構を基軸とした考察を展開して,これまでに報告されてきている現象る現象論的な実験事実に対して科学的根拠を与え、信頼性の高い新接合法開拓の突破口を開くことを到達目標とする。 本年度は、接合中の温度分布ならびに荷重測定を行い、接合中の素材の変形機構を推察する研究と単結晶アルミニウムへの摩擦攪拌スポット接合の2課題を実施した。接合時の温度は接合ツールに挿入した熱電対にて塑性流動がまさに進行している領域の温度を精密に測定し、6分力計によるトルクと軸荷重測定の結果より応力レベルを算出し、純アルミニウムの変形機構領域図中に摩擦攪拌スポット接合における変形状態を当てはめることに成功した。摩擦攪拌接合は従来言われている動的再結晶の他にクリープ現象も発現する可能性があること、すなわち超塑性変形も場所によっては発現することを見いだした。 単結晶アルミニウムを用いた摩擦攪拌スポット接合実験では、接合材の組織をSEM-EBSD法により詳細に方位解析し、試料内に2種類の応力状態が存在していたことを示す証拠を得た。また、素材内で場所により変形状態が異なることを実証した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変形機構を議論するために不可欠な接合中の温度、応力、ひずみ速度を測定するシステムを完成させた。さらに、純アルミニウム単結晶への摩擦攪拌スポット接合を実施し、複数種類存在して競合関係にある変形モードが試料内の場所により寄与の度合いを変えることを突き止めた。塑性流動についても具体的な知見を得た。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.接合条件を変化させて変形モードの競合関係の変化を詳細に調べること。 2.塑性流動の可視化実験により、ツール形状と塑性流動の関係をより明確に把握すること。 3.水中接合など、外部環境を変化させた場合の試料内温度分布を正確に測定し、素材の変形抵抗温度依存性との関連において変形状態ならびにその結果として表れる接合部組織を理解する。
|
Research Products
(2 results)