2011 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧還元反応に基づく温室効果ガス排出極小化製鉄プロセス
Project/Area Number |
23360331
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
葛西 栄輝 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 教授 (50134044)
|
Keywords | 二酸化炭素排出削減 / 酸化鉄還元反応 / 高結晶水鉱石 / 複合原料粒子 |
Research Abstract |
鉄鋼製造プロセスからの温室効果ガス排出量の大幅削減技術の開発、および近い将来予測される優良鉄鉱石の枯渇、還元材のバイオマスや褐炭へシフト等、資源性状の急激な変化に対応可能な合理的で新規な製鉄原理として、炭材と鉄鉱石の複合原料(コンポジット)粒子の超高圧還元プロセスを提案し、高圧還元実験装置を使用してコンポジット試料の還元挙動の詳細把握、得られたデータに基づく反応速度解析等を行っている。本年度は、特に下記の項目を実施した。 ・実験試料の入手および調整: 炭材試料として、高炉製鉄用コークス1種類、石炭2種類(非微粘結炭1種類、褐炭1種類)およびバイオマス炭3種類(杉1種類、ヤシガラ2種類)を入手し、工業分析、組成分析、SEM観察等を実施した。 ・各種炭材の熱分解反応: 100気圧までの圧力雰囲気下において発生するガス(主としてCO,CO_2,H_2,H_2O,CH_4)の連続的な分析を可能とするため既存の高圧特殊雰囲気炉を改良し、COおよびCO_2ガスは連続的に、その他のガスは90秒間隔での分析を可能とした。これを利用し、各炭材のガス化特性を調査し、反応速度定数を算出した。 ・炭材-酸化鉄コンポジットの還元反応速度の解析:高圧(~100気圧)条件における炭材-酸化鉄コンポジット試料の還元反応速度測定を行った。酸化鉄試料は、ヘマタイト(Fe_2O_3)試薬および我が国の主要鉄源である豪州系および南米系の鉄鉱石を、炭材試料としてはGraphiteの他に上記バイオマス炭を使用した。還元実験は窒素流通下、700~1100℃で行い、従来、特に情報の少ない3~10MPa(30~100気圧)の高圧~超高圧条件において精度の高いデータを取得した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
震災による装置の完全復旧が平成23年11月であったこと、および連続分析が可能となる改良が予想以上に困難であったため時間を要したことにより、当初の予定よりもやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度以降、炭材の特性調査および炭材-酸化鉄コンポジットの還元速度のデータベース化及び速度解析を実施予定である。本年度に構築した実験手法により、必要なデータを収集すると共に、大気圧下の実験により報告されている数学モデルに、雰囲気圧力に関する項目を追加することで高圧化のコンポジット還元の速度解析を実施する。
|