2011 Fiscal Year Annual Research Report
限界過冷却融体の動的密度揺らぎの観察とアモルファス合金形成機構の解明
Project/Area Number |
23360335
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
正木 匡彦 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (00360719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 純平 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学本部, 助教 (90373282)
水野 章敏 学習院大学, 理学部, 助教 (10348500)
宗尻 修治 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (90353119)
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Keywords | 金属物性 / アモルファス合金 / 核発生 / X線非弾性散乱 |
Research Abstract |
本研究は、レビテーション法を用いることにより限界まで過冷却させた金属合金液体(限界過冷却液体)に対して、固相萌芽のサイズ分布とそのダイナミクスを明らかにすることを目的としている。 本研究における最も大きな研究課題は、限界過冷却液体内の長時間保持とX線非弾性散乱による動的離密度揺らぎの観察である。本年度については、研究メンバーがこれまでに開発したX線散乱(弾性X線散乱)用のレビテーション装置(静電場法,コニカルノズル法,電磁誘導法など)を用いて液体合金中の密度・濃度揺らぎの検出と関連する物性の計測を試みた。 課題申請時には放射光を用いた実験を中心に研究を計画したが、より多くの実験データの蓄積を図るため、実験室の小角X線散乱装置およびそのための小型静電浮遊装置の再整備と改修を行った。また、次年度以降の非弾性X線散乱実験の実施へ向けて、Spring-8 BL35に設置するための小型の静電浮遊装置の改修設計を行い、真空排気能力の向上,メンテナンス性の向上や浮遊試料の位置補足の精度向上を図った。 物性計測用の静電浮遊装置を用いて、Nb-Zr,Mo-Nb合金など高融点合金の過冷却液体合金の基礎物性の計測を行い、溶融凝固時の体積変化や熱膨張係数を明らかにした。これらの合金は完全固溶体からの相分離を示す系であるが、合金の密度は組成に対してほぼ直線で変化し、理想溶液の体積に極めて近いことが明らかになった。 研究協力者の岡田、水野らにより静電浮遊法およびガス浮遊法を用いた過冷却液体の放射光実験が実施された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では、本年度は機器の整備や装置の設計の期間に充てており、それらについては計画通りに進捗した。また、物性計測や放射光を用いた構造測定についてもほぼ計画に沿って実施された。
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Strategy for Future Research Activity |
夏場の電力事情により放射光実験の実施が困難になる可能性があるが、本年度に実験室のX線小角散乱装置を整備し、代替実験を可能としている。本年度より放射光実験、X線散乱実験および計算機実験(広島大)が本格化し、実験と計算の両面から凝固の核発生の解明を試みる。
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Research Products
(6 results)