2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23360346
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田川 智彦 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10171571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 博史 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70293644)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 化学工学 / 触媒・化学プロセス / マイクロ反応器 / 反応・分離工学 / 表面界面物性 / 顕微赤外分光分析 / 顕微紫外分光分析 / 流動シミュレーション |
Research Abstract |
マイクロ触媒化学プロセスに関する反応工学の一層の展開のためには、分光学的手法を駆使した反応系のin situ 解析が不可欠である。しかし、マイクロ反応器のような微少領域への分光学的手法の適用は通常の分光器では非常に困難である。そこで、本研究では、赤外から紫外にわたるin situ 顕微分光法を駆使して、微少領域における反応条件下での触媒中間種の特定と動的特性の把握、反応器形状がそれらに及ぼす影響を解明することを目的とする。 平成25年度は、1)顕微紫外分光法の応用について優先して検討をおこない。シリコン基板にフォトリソグラフィーの手法でマイクロチャンネルを作成し、この表面に坦持白金触媒を調製した試料を用い、石英製の観察用窓板を装着することで紫外分光用セルとした。非共役のメチルシクロヘキサジエンの脱水素反応を実施し、共役した中間体を補足することに成功した。また、分光分析中に脱水素生成物としてトルエンが生成することを定性的ながら確認した。 2)顕微赤外分光法による触媒の表面解析を計画1)と連動させるため、非共役メチルシクロヘキサンの反応に切り替え、1)と同構造で窓板をKBr製とした赤外分光セルを用いて、π―アリル中間体の生成を観察することができた。 3)流路構造が流動特性および反応特性に及ぼす影響について実験および流動状態の流体シミュレーションによる検討を一部、国際共同研究としておこない。液多相触媒反応系におけるガイドライン構造や表面処理の影響等について流体シミュレーションによる検討を行い、反応器表面のシラン処理による安定化について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)顕微紫外分光法の応用についてシリコン基板にフォトリソグラフィーの手法でマイクロチャンネルを作成し、この表面に坦持白金触媒を調製した試料を用い非共役のメチルシクロヘキサジエンの脱水素反応を実施し、共役した中間体を補足することに成功した。 また、分光分析中に脱水素生成物としてトルエンが生成することを定性的ながら確認した。以上の内容を化学工学会において公表した。 2)顕微赤外分光法による触媒の表面解析を計画1)と連動させるため、非共役メチルシクロヘキサンの反応に切り替え、π―アリル中間体の生成を観察し、顕微紫外分光と連動させることの有効性を国際会議(日韓触媒シンポジウム)で報告した。 3)流路構造が流動特性および反応特性に及ぼす影響について実験および流動状態の流体シミュレーションによる検討を一部、国際共同研究としておこない。液多相触媒反応系におけるガイドライン構造や表面処理の影響等について流体シミュレーションによる検討を行い、反応器表面のシラン処理による安定化について投稿した。 以上の成果は年度当初に立案した研究目的に沿ったものであるが、3)の投稿論文が採択となっていないため、おおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、顕微紫外分光法と顕微赤外分光法による触媒の表面解析を連動させ、同じモデル反応について、さらに反応生成物の速度論的解析を同時に行うことで、紫外から赤外にわたる分光学的解析と速度論的解析を両立させることを目指す。こうした検討を通じて、顕微分光手法の、プロセス強化ならびに多相系マイクロ触媒反応工学への応用を提案する。 また、液多相系反応器の応用に関する国際共同研究を継続し、具体的の反応の実施とその解析を通じたプロセスの強化策を提案する。 本年度は最終年度にあたるため、結果を総合的に解析し、本課題の体系化を図るとともに、将来へ向けたビジョンの策定を行う。
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Research Products
(5 results)