2011 Fiscal Year Annual Research Report
金属ナノ粒子の精密修飾に基づく光触媒利用型ファインケミカル合成法の開発
Project/Area Number |
23360349
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平井 隆之 大阪大学, 太陽エネルギー科学研究センター, 教授 (80208800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 康浩 大阪大学, 太陽エネルギー科学研究センター, 准教授 (70343259)
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Keywords | 光触媒 / 金属ナノ粒子 / 半導体酸化物 / 有機合成 / 白金 / イミン / ワンポット / 部分酸素化 |
Research Abstract |
金属ナノ粒子を半導体光触媒上へ修飾した新触媒により、光触媒反応と触媒反応からなる連続反応を進行させ、ファインケミカルを合成する有機合成プロセスを開発する。金属ナノ粒子の精密修飾により高度な連続反応を進行させるほか、異種金属を混合した合金サイトを形成させることにより高効率かつ高選択的な物質変換を達成する。これらの研究を通して、従来の触媒プロセスでは達成の困難な反応、例えば、アルコールとニトロ化合物からのイミン合成、アルコールを水素源とする脱ハロゲン化を、安価かつ安全な試薬を用いて、常温・常圧下、有害な廃棄物を出さずに進行させるクリーンプロセスを実現する。平成23年度は、以下の新触媒により物質変換を達成した。1)酸化チタン光触媒にPtナノ粒子を担持した光触媒をアルコールとアミンを含む溶液に懸濁させて光照射を行うと、これらの化合物の縮合したイミンが高収率で生成することを明らかにした。本反応では、光励起により生成した正孔によりアルコールが酸化されアルデヒドを生成する。アルデヒドは、触媒表面のルイス酸点における脱水素反応によりアミンと縮合し対応するイミンを生成する。これらの光触媒および触媒反応が連続的に進行することにより、これまで達成されたことのない室温下でのイミン合成が可能となった。2)シクロヘキサンの選択的部分酸化プロセスについて、酸化タングステンにPtナノ粒子を担持した光触媒を用いて検討した。本触媒は、可視光照射下でシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノールを選択的かつ効率よく生成することを見出した。本触媒の高い選択性は、Pt上で励起電子が酸素分子の二電子還元により消費されることにより活性酸素ラジカルを生成しないことが要因であることを種々の分光分析により明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
白金ナノ粒子を担持した酸化チタンならびに酸化タングステンがそれぞれ、アミンとアルコールを原料とするワンポットイミン合成、シクロヘキサンの部分酸素化によるシクロヘキサノンおよびシクロヘキサノール合成に対して高い活性を発現することが明らかにした。半導体酸化物上でのナノ粒子の機能に関する知見が蓄積されてきており、今後の研究課題を順調にクリアできる感触を得ている。それゆえ、区分(2)に該当すると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
白金ナノ粒子(Pt)に関する研究を中心にこれまで研究を進めてきたため、これらの知見は多く蓄積されてきている。そのため、今後はPdならびにAuナノ粒子の触媒機能の解明に努める。同時に、合金ナノ粒子の触媒機能の解明を進め始める。合金ナノ粒子の候補となるのは、仕事関数の大きく異なる二金属である。例えば、PtとCuあるいは、AuとCuなどの組み合わせが合金化によりそれぞれの金属の特性とは異なる新たな性質を発現する可能性が極めて高い。これらの合金ナノ粒子を半導体酸化物に担持した新規光触媒に関する基礎解析を行った上、物質変換反応への展開を図る。
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Research Products
(10 results)