2011 Fiscal Year Annual Research Report
固体高分子形燃料電池用電極触媒のシリカ被覆による性能向上要因の反応工学的解明
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23360350
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岸田 昌浩 九州大学, 工学研究院, 教授 (60243903)
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / カソード電極触媒 / シリカ被覆 / 耐久性向上 / 物質移動 / 速度解析 |
Research Abstract |
本研究においては,シリカ被覆した燃料電池電極触媒(=シリカ被覆Pt触媒)におけるシリカ被覆層中の物質移動速度を調べることが極めて重要である.Ptの溶出も含めて,電極周囲で起こっているほとんどの環象にシリカ層中の物質移動が関わっているからである.その物質移動速度,すなわちシリカ被覆層中の物質の透過速度を調べる上で重要なパラメータは,シリカ被覆層の厚さ,細孔径,および空隙率である.本年度は,これらのパラメータの制御と評価について検討した. シリカ被覆層の厚さ,細孔径および空隙率を制御するために,シリカ被覆層の原料であるシリコンアルコキシド(3-アミノプロピルトリエトキシシランとテトラエトキシシラン)の添加量および各アルコキシドの添加比を変化させてPt触媒のシリカ被覆を行った.その結果,均一な厚さのシリカ被覆層を2nm~50mmの範囲の厚さで制御することができた. さらに,シリコンアルコキシドの種類とその加水分解条件を変えることで,シリカ細孔径および空隙率を変化させる検討を行った.その結果,シリカ細孔径は約1nmであることがわかったが,定量性に問題があった.そこで細孔径に比例する指標を得るため,シリカ被覆Pt触媒を用いてアルコールの電気的酸化反応速度を調べた.大きい官能基を有するシリコンアルコキシドを用いて調製した触媒ほど,プロパノールの酸化反応速度が大きくなる傾向があることを見出した.すなわち,プロパノール酸化反応速度が,シリカ細孔径の大きさの指標として利用できることが示唆された. また,シリカ被覆層中の金属イオンの移動速度を評価するために,シリカ被覆Pt触媒を酸へ浸漬してPtの溶出速度を測定する実験も行ったが,定量的な結果を得るまでには至らなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
想定していたよりも細孔径の定量的評価が難しく,当初は予定していなかった別の実験によって細孔径の評価を行ったため.
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Strategy for Future Research Activity |
細孔径の定量的評価の困難さは予想を越えるものであったが,別の評価指標を確立できたため,今後の研究計画を修正するまでには至らなかった.
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