2011 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノファイバーの大量合成に向けたナノ触媒の設計とナノ触媒リアクターの開発
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23360351
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
綿野 哲 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40240535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 智宏 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50295721)
仲村 英也 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00584426)
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Keywords | カーボンナノファイバー / 回転式流動層 / ナノ粒子 / 最小流動化開始速度 / カーボンナノコイル / 化学気相成長 / 層状複水酸化物 / 気固触媒反応 |
Research Abstract |
回転式流動層を触媒リアクターとして用いる場合、均一な気固接触、すなわち反応原料ガス中で触媒粒子が均一に流動化することが極めて重要であるが、ナノ粒子は物性や周囲の環境によって凝集構造が変化し、これにより流動化特性が著しく変化することが予想される。そこで、ナノ粒子の流動化特性の制御因子を明らかにするために、凝集構造が異なるナノ粒子のモデルとして比表面積径が異なる数種類の親水および疎水性シリカナノ粒子を用い、回転式流動層における流動化実験を行った。その結果、比表面積が小さい、すなわち密に凝集したナノ粒子では大きな凝集体を形成するため、これを均一に流動化するには流動化ガス流速を大きくする必要があることがわかった。また、親水および疎水性シリカナノ粒子を用いた実験より、疎水性シリカナノ粒子では親水性の場合に比べて低いガス流速で均一に流動化できることがわかり、ナノ粒子の流動化ではナノ粒子と装置の容器壁面との間の静電気的相互作用が極めて重要な役割を果たすことが明らかとなった。 一方、ナノ触媒の開発では、原料コスト低減の観点から鉄とニッケルからなる複合酸化物を採用した。触媒粒子内でこれらの元素が均一に配置するように触媒前駆体として鉄ニッケル系層状複水酸化物に着目し、これを焼成することでナノ触媒を合成した。固定層型反応器を用い、アセトニトリルを炭素源とする化学気相成長法でカーボンナノファイバーを製造したところ、触媒中の鉄とニッケルの組成により、生成するカーボンナノファイバーの形状が調整でき、とくに鉄とニッケルが同程度含まれる触媒を用いた場合には、均一なコイル形状のカーボンナノファイバーを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の当初目標は回転式流動層におけるナノ粒子の流動化特性の評価・解析とカーボンナノファイバー合成用ナノ触媒の設計であったが、ナノ粒子の流動化特性はその凝集構造によって制御できることが示され、また、触媒の組成によって形状の異なるカーボンナノファイバーが合成できたことから、本年度の目標をほぼ達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度で得られた研究成果に基づいて、次年度以降は当初の研究計画にしたがって回転式流動層型ナノ触媒リアクターの設計・試作・性能評価を行うとともに、本リアクターに適した触媒の設計とその合成プロセスの最適化について検討を行う。とくに、リアクターの設計では使用する触媒の形態(凝集構造)を十分に考慮する必要があるため、研究組織内で情報交換を密に行い、研究目標を実現する。
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Research Products
(2 results)