2012 Fiscal Year Annual Research Report
バイオマスの効率的変換を目指した機能集積型固体触媒の開発
Project/Area Number |
23360357
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金田 清臣 大阪大学, 太陽エネルギー化学研究センター, 特任教授 (90029554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
満留 敬人 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00437360)
水垣 共雄 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (50314406)
實川 浩一郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50235793)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 触媒・化学プロセス / バイオマス / 固体触媒 / グリセロール / 金属ナノ粒子 |
Research Abstract |
本研究では、研究代表者らによる高機能固体触媒開発の知見をもとに、機能集積型の新規固体触媒の設計を行い、バイオマス由来原料であるグリセロールやフルフラールからの化成品やファインケミカルズ合成プロセスの開発を目的とした。 本年度は、バイオマス由来化学原料としてグリセロールを用い、高選択的な水素化分解反応やアセチル化反応、酸化、還元反応に優れた活性を示す触媒を開発した。特に、グリセロールの高選択的アセチル化と酸化、さらに水素化を組み合わせた高選択的な1,3-ジアセチルグリセール合成におけるワンポット反応系を構築した。 ① グリセロールの選択的アセチル化反応: 種々の金属イオン交換モンモリロナイトを用いて、酢酸によるグリセロールのアセチル化を行い、La交換モンモリロナイトが優れた触媒となることを見出した。酢酸量と反応条件を調整することで、モノアセチルグリセロール、ジアセチルグリセロール、トリアセチルグリセロールをそれぞれ高選択的に得ることに成功した。 ② 銅ナノ粒子内包アルミ酸化物触媒がジアセチルグリセロールの脱水素酸化反応に高活性を示すことを見出した。また、1,2-および1,3-ジアセチルグリセロールの混合物を用いた反応においては、異性化を伴い、高選択的に1,3-ジアセトキシアセトンを単一生成物として得ることに成功した。 ③ 上記の銅ナノ粒子内包アルミ酸化物触媒は、水素化反応にも触媒活性を示し、水素雰囲気下で1,3-ジアセトキシアセトンから1,3-ジアセチルグリセロールへの選択的水素化反応を高選択的に進行させることを見出した。 さらに、上記、①-③の反応をワンポットで行うことにより、グリセロールから1,3-ジアセチルグリセロールが得られることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究成果概要に述べたように、①グリセロールのアセチル化、②アセチルグリセロールの酸化、③アセトキシアセトンの水素化の3点について極めて優れた成果が得られた。さらに、ワンポット反応系へと展開することができた。これらの成果は、当研究グループで新たに開発した触媒を用いることで実現でき、発表した論文は、米国化学会のEditors’ ChoiceやChemical &Engineering News などに注目論文として取り上げられた。したがって、総合的に見て当初計画以上に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画であげていた糖類由来の原料を用いた高選択的変換反応についての検討を進める予定である。すでに、成果の一部は出ており、より高選択的な反応系の開発に向けて順調に検討を進めている。
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