2011 Fiscal Year Annual Research Report
シリカでの被覆を応用した燃料電池用Ptアノード触媒のCO被毒耐性向上
Project/Area Number |
23360359
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹中 壮 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (10302936)
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / Ptアノード触媒 / シリカ被覆 / CO被毒耐性 |
Research Abstract |
水素エネルギー社会の実現に向け,固体高分子形燃料電池の普及が期待されている.固体高分子形燃料電池の本格的な普及に向け,Ptアノード触媒のCOによる被毒が問題となっている.現行の家庭用固体高分子形燃料電池システムでは,水素燃料は炭化水素の水蒸気改質とそれに続くCOの水性ガスシフト反応により製造される.しかしこの水素製造法では,水素燃料中のCOを完全に除去することはできないため,高いCO被毒耐性を有するアノード触媒が求められる.本研究では,厚さ数ナノメートルのシリカでの被覆によりPt触媒のCO被毒耐性向上を試みた.本年度は直径の異なるカーボンナノチューブを担体に用いて担持Pt触媒を調製し,それらをシリカで被覆した.またシリカ被覆する際のシランカップリング剤の種類も検討した.その結果,カーボンナノチューブ担持Pt触媒をシリカで被覆することで,PtのCO被毒耐性が改善されることが分かった.またシリカ被覆カーボンナノチューブ担持Pt触媒のCO被毒耐性は,カーボンナノチューブの直径に依存しなかった.一方シリカ被覆カーボンナノチューブ担持Pt触媒のCO被毒耐性は,シリカ被覆時のシランカップリング剤の種類に強く依存し,テトラエトキシシランを用いてシリカ被覆した場合に高いCO被毒耐性が得られることがわかった.テトラエトキシシランの加水分解によりシリカを生成すると,シリカ中には多くのシラノール基が含まれる.このシラノール基とPtとの化学的な相互作用により,PtのCO被毒耐性が改善されたと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではカーボンナノチューブ担持Pt触媒をシリカで被覆することでPtのCO被毒耐性向上を試みるが,本年度に行った研究で,PtのCO被毒耐性を向上するためのシリカ被覆条件がある程度明らかになった.今年度に得られた研究成果を利用すれば,来年度に行う研究で高いCO被毒耐性を示すシリカ被覆カーボンナノチューブ担持Pt触媒の開発が行える.したがって本研究の現在までの達成度は,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に行った研究により,最適な作用を示すシリカ被覆カーボンナノチューブ担持Pt触媒を調製するための指針が明らかになった.今後はこの指針に基づき,さらに多くの触媒を調製し,それらのCO被毒耐性を明らかにし,優れたCO耐性を示すシリカ被覆カーボンナノチューブ担持Pt触媒を開発する.またそこで得られた知見を基に,シリカ被覆Pt触媒の実用化に向けた問題点を明らかにする.
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