2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23360360
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
山方 啓 豊田工業大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60321915)
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Keywords | 可視光応答型光触媒 / 光励起キャリアー / 再結合速度 / 電荷移動速度 / 時間分解赤外分光 |
Research Abstract |
チタン酸ストロンチウムはバンドギャップが3.2eVの紫外光に応答する光触媒である。紫外光型光触媒にNiやCrなどの遷移金属をドープすると可視光応答性を示すことが知られている。しかし、光触媒に不純物をドープすると、その不純物が再結合中心になるため、一般には再結合速度は速くなると考えられている。そこで、本研究では、遷移金属をドープすることによる光励起キャリアーの再結合速度の変化を時間分解赤外吸収分光法を用いて調べた。その結果、NiやCrをドープすると、光励起電子の再結合速度は、予想と反してドープ前よりも遅くなった。さらに、電荷を補償するためにTaを共ドープすると、再結合速度はさらに遅くなった。また、触媒調製法を工夫して欠陥の少ない結晶を作製すると、光励起電子の寿命は"数秒"と極めて長くすることができた。また、長い再結合速度を有する光触媒は、メタノール水溶液中での水素発生も高い効率を示した。しかし、量子効率は1%にも達しなかった。そこで、反応分子への電荷移動速度を調べたところ、ドープするとドープする前に比べて、正孔の反応活性は変化しないが、電子の反応活性が低下することが分かった。したがって、定常反応活性をさらに向上させるためには、電子の反応活性を向上させる必要が有ることが分かった。 また、遷移金属をドープして調製した光触媒における光励起キャリアーの再結合速度には励起波長依存性があることが分かった。CrとTaを共ドープした触媒を紫外光や可視光で励起した光励起電子の再結合速度には励起波長依存性はみられないが、NiとTaを共ドープした触媒では紫外光より可視光で励起した方が再結合速度が遅くなることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光触媒反応の定常反応活性を向上させるためには再結合を遅くし、なおかつ、反応分子への電荷移動速度を向上させる必要がある。本年度は、このうちの第一目標である再結合速度を遅くすることを達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
光励起キャリアーの再結合寿命を飛躍的に延ばすことに成功したが、定常反応活性はそれほど向上しなかった。この原因は光励起電子の反応活性が落ちたためである。次年度は、この光励起電子の反応活性を向上させるために、反応分子への電荷移動速度を向上させることを目的に研究を行う。
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Research Products
(14 results)