2011 Fiscal Year Annual Research Report
再生医工学実用化に向けた細胞機能制御タンパク質材料の創製
Project/Area Number |
23360364
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小畠 英理 東京工業大学, 生命理工学研究科, 准教授 (00225484)
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Keywords | 生物機能工学 / 再生医工学 / 細胞機能制御 / タンパク質材料 / 組織構築 |
Research Abstract |
本研究では、現在ますます脚光を浴びている再生医工学の実用化を加速するために、高度な細胞制御機能と生体適合性を有するタンパク質を素材とした新しい組織再生用材料を創製することを目的としている。本申請課題内の研究では神経組織の構築を目標とし、幹細胞の足場となり、その増殖を制御でき、かつ神経細胞、グリア細胞への分化を制御して神経組織を誘導構築できる多機能一体型タンパク質の設計を通して細胞機能制御タンパク質材料の構築原理を確立するとともに、再生医工学分野への貢献を目指す。 初年度の研究では、まず細胞との相互作用、細胞の機能制御を行う機能ユニットを精密配置するための構造体ユニットの設計・合成を行った。合成したGVGVP繰り返し配列を有するタンパク質を基板上に集積し、自己組織化能を有することを明らかにした。またこの配列にチャージを持つアミノ酸を周期的に配置して分子間相互作用部位を導入することにより、ナノメートルオーダーで構造を制御したタンパク質構造体の構築ができることを示した。 一方、細胞制御機能ユニットとして、フィブロネクチン由来のRGD配列、PHSRN配列、ラミニン由来のIKVAV配列、NCAM由来の配列等、天然の構造タンパク質中に見出されている細胞接着機能を有する最小のアミノ酸配列群に対応する遺伝子を設計・合成した。これらの遺伝子を、構造体遺伝子に連結し、遺伝子発現により細胞接着能を組み込んだ機能タンパク質を合成した。このタンパク質を、基板上に自己組織化させることにより形成される構造体を細胞足場とした。この上で種々の細胞を培養することにより、接着する細胞種と機能配列の相関を明らかにし、細胞足場材料としての有用性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
合成した機能配列である細胞接着ペプチドを、別に設計・合成した構造体タンパク質に導入して評価したところ、両配列の効果により、当初予測した以上に良好な細胞接着活性を示すとともに、細胞種依存性があることを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまで構築したタンパク質に、細胞分化を制御する機能配列を導入する。これにより神経幹細胞から神経細胞、あるいはグリア細胞への分化振り分けを行い、神経組織ネットワークの構築を実現する予定である。本研究遂行に当たり、分化振り分けの困難が予想されるが、これまでに研究しで蓄積された知見と技術を基に、タンパク質のエンジニアリングを行い、目的を達成する。
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Research Products
(10 results)