2012 Fiscal Year Annual Research Report
再生医工学実用化に向けた細胞機能制御タンパク質材料の創製
Project/Area Number |
23360364
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小畠 英理 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (00225484)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 生物機能工学 / 再生医工学 / 細胞機能制御 / タンパク質材料 / 組織構築 |
Research Abstract |
本研究では、現在ますます脚光を浴びている再生医工学の実用化を加速するために、高度な細胞制御機能と生体適合性を有するタンパク質を素材とした新しい組織再生用材料を創製することを目的としている。本申請課題内の研究では神経組織の構築を目標とし、幹細胞の足場となり、その増殖を制御でき、かつ神経細胞、グリア細胞への分化を制御して神経組織を誘導構築できる多機能一体型タンパク質の設計を通して細胞機能制御タンパク質材料の構築原理を確立するとともに、再生医工学分野への貢献を目指す。 初年度の研究では、まず細胞との相互作用、細胞の機能制御を行う機能ユニットを精密配置するための構造体ユニットの設計・合成を行った。 次いで平成24年度は、細胞機能を制御するタンパク質の設計・合成を中心に研究を行った。上皮細胞成長因子(EGF)および塩基性繊維芽細胞成長因子(bFGF)を、前年度に構築した細胞足場材料タンパク質と組み合わせて、成長因子-足場一体型タンパク質を構築し、その細胞増殖機能を評価した。成長因子と足場材料を一体化するために、お互いに非共有的な結合を形成するヘリックスペプチドをそれぞれのタンパク質の末端に導入し、その上で細胞培養を行った。その結果、EGF、bFGFいずれの成長因子を導入した場合においても、細胞増殖が促進されることが明らかとなった。 また神経系細胞の分化・維持機能を担うCiliary Neurotrphic Factor (CNTF)の遺伝子クローニンを行った。さらに改造を施したCNTFの発現・精製を行い、その分化誘導、および神経組織維持機能を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞機能を制御するタンパク質の設計・合成を中心に研究を進めてきた結果、既存の成長因子タンパク質を基にして改造を施し、細胞増殖を促進する新規タンパク質を合成することができた。これら新規タンパク質と、前年度に構築した足場材料タンパク質とを一体化することにより、再生医工学材料の基礎を築くことができた。また神経系細胞の分化・維持に関与するタンパク質CNTFを合成し、神経組織構築材料としての可能性を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、神経幹細胞から神経細胞やグリア細胞に分化誘導するタンパク質因子の改造を行い、神経細胞用に作製する足場材料タンパク質と一体化させ、神経組織の構築を行う。これらを細胞増殖促進タンパク質と適宜組み合わせて用いることにより、神経細胞、グリア細胞への分化振り分けを行い、神経組織ネットワークの構築を実現する予定である。本研究遂行に当たり、幹細胞から任意の方向への分化振り分けの困難が予想されるが、これまでに研究しで蓄積された知見と技術を基に、タンパク質のエンジニアリングを行い、目的を達成する。
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Research Products
(10 results)