2012 Fiscal Year Annual Research Report
飛翔体と地上ロボットの群制御を用いた多次元情報収集システムの開発
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23360382
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
稲田 喜信 東海大学, 工学部, 教授 (60302791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高信 英明 工学院大学, 工学部, 准教授 (40308177)
高木 力 近畿大学, 農学部, 教授 (80319657)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 形状制御 / 外乱モデル / 安定性 / エネルギー消費 / 群ロボット / 全方位移動機構 / 超音波センサ |
Research Abstract |
平成24年度は(1)群制御アルゴリズムの開発、(2)群制御ハードウェアの開発、(3)多次元情報表示システムの開発、の3点に取り組む予定であったが、(3)の多次元情報表示システムの開発については、表示の対象となる画像データ、温度、湿度等のデータの取得に必要なセンサ類の導入が遅れて機体への搭載まで至らなかったため、来年度に行うこととし、(1)、(2)の項目について研究を行い以下のような成果を得た。 (1)群制御アルゴリズムの開発 重点課題として取り組んでいる編隊飛行中の飛翔体群の編隊形状の制御において、形状の変更中に起きる分裂や脱落を防ぐために機体間の相互作用モデルを変更し、機体の移動方向の変動を抑えるための改善を加えた。その結果、70%程度あった分裂の発生率を10%程度にまで抑えることに成功した。また、外乱モデル(Drydenモデル)を導入することによって外乱時の編隊飛行の安定性を評価し、安定性を高めるために有効なパラメータを同定することができた。さらに、魚群を構成する個体のエネルギー消費を分析し、先頭個体よりも後続個体の方が少ないエネルギー消費で移動できること、及びエネルギー消費を最小にすることができる最適な個体の位置が存在することを定量的に証明し、群制御が持つエネルギーコストの低減効果を明らかにした。 (2)群制御ハードウェアの開発 自律飛行による群制御を実現するために飛行制御ボードを入手し、搭載センサの精度検証を行い良好な結果を得ることができた。また、機体間の相互作用の一つである機体の向きを揃える制御(平行制御)を実現するために、方位センサの情報を通信装置を用いてロボット間で交換し、互いの向きを揃える制御に成功した。また、飛翔体と連携する地上ロボットについては、新たに全方位移動機能を搭載したロボットを導入し、超音波センサを搭載して複数ロボット間の相互作用制御を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
群制御アルゴリズム研究については、群の分裂や脱落の問題に対して機体間の相互作用モデルを改良し、機体間の距離に応じて相互作用を連続的に変化させることによって、機体運動の急激な変動を抑えて運動を安定化することに成功した。その結果、従来モデルで発生していた群の分裂や脱落を大幅に削減することに成功した。また、再現性の高い外乱モデルであるDrydenモデルをシミュレータに組み込んで、安定性に影響を持つパラメータを分析した結果、同時に相互作用できる機体数(Nb,max)が大きいほど、外乱下における群形状の変動や移動方向のばらつきが抑えられ、高い安定性を維持できることを確認した。Nb,maxを増加させることの有効性は過去の外乱モデルでも指摘されていたが、より再現性の高いDrydenモデルでも同様な結果を確認できたことは、Nb,maxが持つ群制御の安定性向上の効果をより確実に示す成果だと言える。また、魚群の運動解析を行って、群の先頭個体よりも後方個体の方が運動時のエネルギー消費量が小さいこと、及び後方個体の中で前方個体の斜め後ろに位置する個体が最もエネルギー消費が小さいことを確認することができた。これは、後方個体が前方個体の生成した後流のエネルギーを有効に利用していることを示すと同時に、そのための個体の配置に最適な位置が存在することを示すものであり、群形成におけるエネルギーコストの低減効果を定量的に示した点で重要な成果だと言える。また、ハードウェア開発において制御ボードの精度検証を行ない、群制御に適した制御ボードを選択できたことや、複数のロボットが移動方向を揃える平行制御や地上ロボットと飛行船間の連携制御に成功したことは、実機を用いた群制御の実現に向けて得られた着実な成果だと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は最終年度であり、研究目標を達成する上での最重要課題は実機を用いた群制御の実現になる。これまでの研究では個々の要素制御に成功しているが、それらを総合した上で群制御を実現するためには、複数のセンサを同時使用し、複数の制御を同時実行させる必要がある。搭載する制御ボードの性能は限られているため、負荷の大きな処理をいかにして単純化して実装するかが課題となる。これらの問題についてはアルゴリズムの簡素化や通信データ量の削減等を行って対応する予定である。また、実機の開発と並行して、今年度着手できなかった情報の表示システムの開発にも取り組む予定である。これは複数の飛翔体や地上ロボットから送られてくる計測データを一つの画面上に集約して表示するシステムで、広範囲に分散する飛翔体やロボットの位置を地図上にマッピングするとともに、搭載する各種センサのデータも同時に表示することで、位置+計測データという多次元の情報を表示できるシステムとなる予定である。
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