2011 Fiscal Year Annual Research Report
総合的リスクを考慮したライフサイクル構造評価手法に関する研究
Project/Area Number |
23360383
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
川村 恭己 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (50262407)
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Keywords | 総合的リスク / ライフサイクル / 構造最適化 / リスク評価 |
Research Abstract |
新しい時代における船舶の設計・建造・運用においては、構造安全性だけを考慮した設計から、安全性の考え方を含めたサステナビリティを考慮した船舶の設計・製造・保全の考え方が必要になってくると考えられる。本研究では、構造安全性と環境影響等の様々なリスク(総合的リスク)の評価方法を検討するとともに、それらに基づいた船舶のライフサイクルにおける構造の評価手法を検討することを目的とする。平成23年度は、船舶におけるライフサイクルにおける便益をリスクの評価指標として導入するとともに、その一部として総合的リスクを評価する手法を検討した。具体的には、油の流出や人命損失等の確率的なリスクと、CO2の排出等の環境インパクトに関するリスク評価手法を検討した。船舶のライフサイクルにおける便益評価指標としては、LCB (Life Cycle Benefit)を用いた。LCBは、船舶を運用する上で得られる収入と、そのために必要となるコストの差と定義され、運航収入、運用コスト、保守管理コスト、及び建造コスト等を考慮した。また本研究では構造的事故リスクに着目し、構造強度の劣化を考慮した破壊リスクの評価手法を検討した。CO2排出リスクの評価に関しては、従来から行われているLCI分析を用いた船舶建造時のCO2排出量の算定法を検討するとともに、船舶運航時のCO2排出リスクの算定にはEEDIを算定することによる評価を試みた。また、油排出リスクに関しては、海洋汚染防止条約に基づいて油仮想流出量を算定した後、それを用いて油流出時ゐコスト(補償等)を推定した。 次に、上記で定義した評価指標(LCB)を用いた、構造最適化手法を検討した。具体的には、LCBを目的関数とした、遺伝的アルゴリズムを用いた最適化プログラムの開発を行い、評価指標の考え方の違いにより、構造設計にどのような影響を与えるかを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、総合的リスク評価手法について検討し、それらを用いた最適化を行えるようになっているから。
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Strategy for Future Research Activity |
総合的リスク評価の考え方について提案することができたが、今後はこの考え方を実用的な問題へと応用することが課題である。特に、より大規模な問題が取り扱えるように、最適化ツールの高度化についても検討していく予定である。また、各種リスクの評価方法等についても継続して検討していく。
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