2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23360385
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岩下 英嗣 広島大学, 大学院・工学研究院, 教授 (60223393)
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Keywords | 地面効果 / 実海域 / 飛行性能 / 対航性能 / 境界要素法 / 揚抗比 |
Research Abstract |
地面効果翼機とは翼の揚抗比が地面近傍で大幅に向上することを利用して、高速大量輸送を実現する新しい輸送機器として期待されている乗り物である。本研究では、離水性を高める機体として新たに提案する前翼式地面効果翼機の実海域飛行性能について探究するものであり、2mクラスの模型による空力データおよび飛行データ取得と飛行シミュレーション法の開発を通して模型レベルでの実海域飛行性能実証を最終目的として実施している。今年度は下記の内容を遂行している。 (1)地面効果翼機の流体力計測法の開発 実海面上を飛行する機体に作用する非定常な流体力を計測する方法として曳航水槽を利用した方法を適用した。既存の曳航水槽に翼模型を配置し、平板上もしくは波浪に見立てた固定波板上を高速曳航することにより、非定常空力特性を実験的に把握できるようになった。一方、境界層影響を小さくできる地面床を2次元CFDを用いて設計し、風洞試験にて境界層の影響を小さくできていることを確認した。この地面床を用いてNC切削主翼単独模型の風洞試験を実施し、高精度に地面効果内の空力性能を計測できることを確認した。風洞のブロッケージ影響についても数値計算を用いて調査している。基本的な空力性能については風洞試験にて取得できることが確認できた。 (2)推進器と機体との干渉流体力推定法の開発 推進器としてダクテッドファンを想定し、この模型を用いて(1)による風洞試験を実施した。これにより推進器の推力および効率のデータを取得することができたと同時に、前翼式全機模型の巡航時の必要推力3kgfを2万RPMで出せることが分かった。また、全機模型に推進器をマウントしてパワー付き風洞試験を実施することにより、推進器と機体との空力干渉影響についてデータを構築することができた。推進器を主翼上部にマウントすることにより推力は5%程度向上し、圧力中心の移動は微小量であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採択直後から準備に取りかかり、風洞試験模型の製作、装置の製作等、予定通りに進行したため、特に遅れ等を生じることなく進展している。理論解析関連の進捗も概ね予定通りである。現在、成果の一部について論文執筆中であり、この点は予定よりも若干早めの進行である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の計画としては、当初計画通り、実海面上飛行時の耐空・耐航性能推定法の開発を遂行していく。地面効果翼機が平水面上や規則波面上を飛行する場合の耐空・耐航性能推定法については既に周波数領域のポテンシャル理論をベースとした推定法を確立している。それを進展させた方法として、実海面上を飛行した場合の推定法として時間領域解法を新たに開発する。これにより時々刻々変化する翼後流面の発達の様子等を考慮しながら、斜め波上や不規則な波面上を飛行する場合の問題が解析できるようになり、実際に即した機体の耐空・耐航性能の推定が可能となる。まず翼単独の時間領域での解析を行い、翼後流面の発達とその海面との干渉影響について検討する予定である。
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