2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23360388
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木村 元 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (40302963)
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Keywords | パイプ / 配管 / 自動設計 / 遺伝的アルゴリズム / バルブ操作性 / 機器配置問題 / 自己組織化 / ルーティング |
Research Abstract |
(1)配管設計におけるバルブの操作性およびバルブへのアクセス性評価の数値化 ベテラン技術者の勘と経験頼みとなっている船舶の配管設計を自動化するため,まず設計案の良し悪しを数値化しなければならない。そこで配管設計案におけるバルブの操作性およびバルブへのアクセス性を数値化する方法を提案した。これは設計案の対象とする空間をメッシュに分割し,通路から各バルブまで作業員が最小の消費カロリーで通れる経路を探索し,このカロリー合計をコストとして評価するものである。移動に要する消費カロリーは人間工学に基づくデータを利用しており、設計案に対する妥当な評価の数値化が可能となった。 (2)自動配管設計システムの構築 配管設計においては、分岐を含むパイプの引回しだけでなくパイプ上に接続されたバルブ等の位置を決定しなければならない。本研究では、このように複雑過ぎて設計作業の自動化が困難だった問題に対し「パイプの分岐」を機器の一種として表現することにより、「機器配置問題」と「分岐の無い単純なパイプのルーティング問題」の単純な2問題へ分解することに成功した。これにより設計パラメータの探索方法として自己組織化機器配置法や遺伝的アルゴリズムが適用可能となり、(1)の設計案評価の数値化に基づいて最適化を行うことにより最適な設計案の自動生成が可能となった。 また、分岐を伴わないパイプのルーティングについては、実際の設計現場においては必要に応じてなめらかなS字状に曲がったパイプピース(ベンド)が使用されており、パイプの自動ルーティングにおいてこのようなピースを考慮に入れることは困難であったが、研究代表者らが提案した新しいルーティングアルゴリズムを拡張することにより、ベンドを考慮した最適な自動ルーティングを実現した。これは研究代表者らが調査した限りにおいて世界初のシステムである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画どおりに研究が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では実際の配管設計現場で役立つようなシステムの構築を目指しているため、造船所の蟻装設計担当者などに対して聞き取り調査を行い、そのコメントを参考にして今後の方向性を修正していくことが考えられる。また、本研究に関するwebサイトを開設し、論文だけでなく設計システムや最適化アルゴリズムのプログラムソースコードおよびシミュレーション実験で用いた設計データ等を公開することにより、第3者による研究成果の客観的な評価を促すと同時に、研究者以外のエンジニアも研究成果を直接的に利用できるよう態勢を整える。
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