2012 Fiscal Year Annual Research Report
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23360388
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木村 元 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40302963)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ルーティング / 自動設計 / 配管 / パイプ / 遺伝的アルゴリズム / 機器配置問題 / 経路探索 / 自己組織化 |
Research Abstract |
(1)より実用的な自動配管設計システムの構築 分岐を伴わないパイプの配管設計では、実際の設計現場においては必要に応じてなめらかなS字状に曲がったパイプ(ベンド)が使用されており、パイプの自動ルーティングにおいてこのようなピースを考慮に入れることは困難であったが、研究代表者らが提案した新しいルーティングアルゴリズムを拡張することにより、ベンドを考慮した最適な自動ルーティングを実現した。一般に配管設計では径の異なる複数のパイプを同時に配置したり、通路として想定される空間を可能な限り回避しつつパイプラックとして想定される空間をなるべく通ることが望まれる。本研究では、通路空間やパイプラック空間を通過するパイプにそれぞれ異なるコストを設定し、実際の設計手順と同じように太いパイプから配置するよう自動設計システムを改良することによりこれを実現した。 (2)配管工事における作業性を考慮した組立手順生成・配材システムの構築 造船工程における先行艤装では、艤装工数の大半を配管工事が占め、エンジンルームデッキ裏だけでも千本以上の大量のパイプを取り付けなければならない。これらは密集して配置されているので、作業性を考慮してパイプの工事順序を与えなければならない。また、これだけの本数のパイプを一度に組立現場へ配材すると、広いスペースが必要になる上、工事対象のパイプを探すのに大変な手間がかかる。そこで、配管自動設計システムにおいて設計案のバルブ操作性評価の計算を応用し、配管工事における作業性を考慮した組立手順生成・配材システムの構築を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)の「より実用的な自動配管設計システムの構築」については、ほぼ計画通りにシステムの構築が進んだが、それ以前に構築した機器配置・バルブ操作性評価のシステムとは今のところ別の構成になっており、これらのシステム同士を結合し全体を評価する必要がある。また、径の太いパイプから優先的に配置していく方法は、配管設計の現場において一般的に行われているものであり、本研究で構築したシステムはエキスパートシステムとして一応の評価を得たが、シミュレーション実験を繰り返して観察すると、後から配置するパイプにしわ寄せが発生し、全体としての評価が下がってしまう設計案が生成される問題が生じた。 (2)の「配管工事における作業性を考慮した組立手順生成・配材システムの構築」では、システムの構築が一応完了し、本年度の補助金で購入した3Dプリンタによって模型を製作して生成された組立手順の作業性を確認し、実際の造船所へシステムを持ち込んだ段階であるが、現行の作業量と構築した配材システムによる作業量の定量的な比較結果については、平成25年度の8月頃に明らかになる予定である。このため、本システムの成果発表は平成24年度中に実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
自動配管設計システムの構築については、径の異なる複数本のパイプを同時に配置するシステムの改良を行う。また以前に構築した機器配置・バルブ操作性評価システムと結合する。さらに、配管設計では管内を流れる物体を滞りなく流すために重力方向を考慮してパイプを配置するので、本研究の自動配管システムにもこれを組み込む。 配管工事における組立手順生成・配材システムでは、実際の造船所へシステムを持ち込んだところであり、これから現行の作業量に対して本研究のシステムにより生成された配材計画により作業量の低減がなされるかどうかの定量的な評価を行う。 また、本研究に関するwebサイトを開設し、論文だけでなく設計システムや最適化アルゴリズムのプログラムソースコードおよびシミュレーション実験で用いた設計データ等を公開することにより、第3者による研究成果の客観的な評価を促すと同時に、研究者以外のエンジニアも研究成果を直接的に利用できるよう態勢を整える。
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