2011 Fiscal Year Annual Research Report
マグネタイトを用いた貴金属の選択的・高効率抽出法の開発
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23360398
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
廣吉 直樹 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (50250486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 真由美 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (10339690)
福嶋 正巳 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (40344113)
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Keywords | マグネタイト / 貴金属 / 金 / 白金 / パラジウム / ロジウム / 吸着 / 還元析出 |
Research Abstract |
平成23年度は、貴金属リサイクルにおいて重要な位置を占める塩化物溶液系に焦点を絞り、吸着実験や各種表面分析,電気化学実験により、マグネタイトへの貴金属への吸着特性とメカニズムを調べた. 0.05~1mMのAu,Pt,PdあるいはRhを含む0.001~1M NaCl溶液(pH2~13)を用い,マグネタイトへの吸着に及ぼす諸要因の影響を調べた(温度25℃).貴金属の吸着は24h以上の時間の経過後にほぼ平衡に達し,溶液中の貴金属濃度の増大に伴い増大した.Pdの吸着量はNaCl濃度の増加に伴って減少したが,他の貴金属の吸着にはNaCl濃度の影響はほとんど見られなかった.吸着量のpH依存性も金属によって異なり,PdやRhの吸着量はpHの増加に伴って単調増加したが,AuとPtの吸着量はpH6-7付近で吸着量が最大となり,これよりも酸性やアルカリ性になるに従って減少した.貴金属と一般金属(Cu,Zn,Ni)を混合させたNaCl溶液を用いて吸着実験を行ったところ,貴金属の吸着量は他の金属のそれよりも多く,マグネタイトが貴金属を選択的に吸着させることが確認された.貴金属を吸着させたマグネタイトの表面をSEM-EDXにより分析したところ,貴金属の吸着箇所はマグネタイト表面の1部に偏在することが認められた.マグネタイト結晶標本を用いた電極をAuを含むNaCl溶液に24h浸漬してAuを表面に吸着させた後によく洗浄し,別に用意したNaCl溶液中でボルタンメトリーを実施したところ,マグネタイトの表面に金属Au(価数0のAu)が吸着していることが確かめられた.この結果はマグネタイトへのAu吸着が還元析出によることを示唆している
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた塩化物溶液系の吸着実験・表面分析は4種の貴金属種に関して全て実施できた.電気化学実験もAuについては終了している.したがって,研究はおおむね順調に進展しているものと判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度(平成23年度)の研究は計画にそっておおむね順調に進行しており,研究を進める上で重大な問題は生じていないので,次年度も計画に沿って研究を進める予定である.具体的には,平成24年度は、マグネタイトを含んだ廃棄物由来物質などに吸着材候補の対象を拡げて貴金属の吸着特性を調べる。塩化物溶液以外の溶液からの貴金属の吸着に関しても検討する。
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Research Products
(2 results)