2012 Fiscal Year Annual Research Report
熱・水・応力・化学連成環境における岩盤透水特性の解明と連成モデルの高度化
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23360401
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
安原 英明 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (70432797)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 岩盤 / 透水特性 / 鉱物溶解 / 力学クリープ / 温度・拘束圧 |
Research Abstract |
高レベル放射性廃棄物等のエネルギー生成後の副産物を深地層下の岩盤内に隔離し,長期に渡りその性能を保証するためには,副産物隔離後の岩盤の水理学特性の経時変化を予測評価することが必要不可欠である.そこで本研究では,透水特性の経時変化に着目し,拘束圧及び温度を制御した単一の亀裂を有する花崗岩および泥岩の透水試験を実施し,透水特性の経時変化を観察すると共に,その変化に起因するメカニズムの解明を試みた.実験条件は,拘束圧3および5MPaで,また温度条件は20および90℃で透水実験を行った.さらに,透過水については蒸留水およびシリコーンオイルの2種類を採用した.蒸留水については,鉱物溶解を促進させるために使用し,シリコーンオイルについては,逆に鉱物溶解を起こさせない環境を模擬するために使用した.透水試験の結果,蒸留水を使用した場合,実験開始と共に透水性は一様に低下していくことが確認された.一方,シリコーンオイルを使用した場合,透水性は蒸留水を用いた実験と同様に低下する傾向が得られたが,蒸留水の場合よりも緩やかな減少傾向であることが判明した.これらの結果より,本実験で作用させた拘束圧および温度条件では,透水性の低下は岩石を構成する鉱物の溶解現象と,力学的なクリープ現象の両方に起因していると考えられる.さらに,解析的な検討として,鉱物の溶解・拡散・沈殿の一連の機構を記述できる力学-化学連成モデルをH23年度バージョンより改良し,実験結果の再現解析および拘束圧・温度条件を変化させた条件での予察解析を試みた.解析モデルの修正では,特に,平衡定数を評価する関数をPHREEQ-Cデータベースを採用することにより,より精密な値を評価することが可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,様々な条件で透水試験を実施できており,数値解析についてもモデルの拡張を実施できているため.
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Strategy for Future Research Activity |
拘束圧・温度・透過水pH環境を変化させた透水試験を実施し,精度の高い試験データを蓄積する.H25年度は特にセメント水を透過流体として採用した透水試験を実施する. また,力学-化学連成解析モデルの改良を実施し,試験結果を再現するとともに,より精緻なモデルを開発する.
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Research Products
(3 results)