2011 Fiscal Year Annual Research Report
ゾル-ゲル法による無機/バイオ吸着素子の開発と革新的レアメタル分離プロセスの構築
Project/Area Number |
23360405
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
馬場 由成 宮崎大学, 工学部, 教授 (20039291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大榮 薫 宮崎大学, 工学部, 助教 (00315350)
岩熊 美奈子 都城工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (00342593)
金丸 慎太郎 宮崎大学, 工学部, 研究員 (80559435)
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Keywords | ゾル・ゲル法 / キトサン/シリカ / 吸着 / レアメタル / 貴金属 / 鋳型吸着材 / パーフュージョンクロマト / ハイブリッド |
Research Abstract |
【I】ゾルーゲル法によるシリカ/バイオマス多孔質球状体の創製とレアメタル吸着特性 キトサン/有機酸を水相としたO/W/Oエマルションを調製し、その外油相にγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMC)を溶解し、キトサンのアミノ基とエポキシの反応により多孔性のキトサン/シリカハイブリッド真球状体の合成に成功した。細孔構造制御は、内油相とキトサン溶液との割合によって制御できることを見出した。このハイブリッド球状体にピリジルメチル基、チオエーテル基などを導入した吸着材をいくつか合成し、貴金属・レアメタルに対する吸着特性を検討した。また、タンパク質のカゼインとシリカのハイブリッド吸着材の合成を行い、本吸着材はAu,Pdに対して高い選択性を示した。その表面はひだ状の構造体であり、表面拡散速度の寄与を大きくできる可能性を秘めている。一方、フェノール基をもつリグニンやタンニンとシリカとのハイブリッド吸着材については、現在検討中である。 【II】ゾルーゲル法による二重アフィニティーをもつシリカ/キトサンハイブリッド分子認識素子の創製 まず。鋳型のないキトサン誘導体/シリカ吸着材の合成を行った。キトサンのアミノ基を一つの配位原子としたアミノメチルピリジンを配位基とするキトサン誘導体(APMC)を合成し、酸に不溶化するためにトリエトキシシラン(TEOS)で架橋した。本吸着材は、1MのNH_4NO_3溶液では低pH領域から中性領域にかけてAu、Pd、Cu、Niに高い吸着選択性を示した。また、バッチ法により吸着速度を測定し、CuやNiよりも貴金属の吸着速度が遅いことがわかった。そこで鋳型吸着材として、まずPd^<2+>を鋳型にしたAPMCを合成し、TEOSで架橋した後、2Nの塩酸+チオ尿素溶液でPd^<2+>を脱離する方法でパラジウム鋳型APMC/シリカハイブリッド吸着材を合成した。この吸着材を用いて吸着平衡と吸着速度を測定し、上述した鋳型なしのAPMC/シリカ吸着材と比較検討し、その鋳型吸着材の最適化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ゾル・ゲル法によるキトサン/シリカのハイブリッド真球状体の合成に成功した。さらにこれを基体としていくつかのキレート配位子を導入し、それぞれの吸着選択性を明らかにすることができた。また、タンパク質/シリカとの真球状体の合成にも成功し、タンパク質と無機質のハイブリッド吸着材の合成については最終年度までには成功させたいとの期待があったことから、当初の計画以上に進展がみられている。
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Strategy for Future Research Activity |
ゾル・ゲル法によるキトサンやカゼインなどのような生体高分子・タンパク質とシリカ無機材料とのハイブリッド材料は吸着材の基体としてだけではなく、生体適合性材料としても期待される。初年度にこのようなハイブリッド材料を新規に合成することに成功し、しかも球状体などのような形状制御も可能であることが見出せたことは、新たな機能性を持った材料開発の一つの合成指針になると確信している。本研究プロジェクトでは貴金属やレアメタルの安定供給のための分離・回収材としての吸着材の開発を目的としており、本研究プロジェクトで最初に提案していた申請書通りの方向性で今後も研究の展開を図っていく予定である。
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