2012 Fiscal Year Annual Research Report
トーラス系高密度プラズマでの電子バーンシュタイン波の総合的理解
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23360410
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 雄一 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (90144170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 惇二 東京大学, 新領域創成科学研究科, 助教 (70192375)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | プラズマ・核融合学 / 炉心プラズマ / 高周波加熱 / 内部導体装置 / REBCO線材 / 高温超電導コイル |
Research Abstract |
内部導体装置や球状トカマク、さらにはヘリカル装置において、高密度プラズマの加熱方式として電子バーンシュタイン波(EBW)が世界的に注目さ れている。球状トカマクやヘリカル装置では、EBWによると予想されるプラズマの加熱が観測されているが、プラズマ中に励起されたEBWを直接測 定してはいない。一方、小型の内部導体装置Mini-RTでは、プラズマ中に高周波測定用のアンテナを挿入することにより、EBWを直接測定して いる。本研究では、EBWの励起メカニズムを同定し、理論との比較を行い、EBWの総合的理解と解明を目指している。 トーラス系プラズマでのEBWの励起の方法として、①弱磁場からのXモード入射(FX-SX-B)、②弱磁場からのOモードの斜め入射 (O-SX-B)、③強磁場からのXモード入射(SX-B)の3通りがある。内部導体装置Mini-RTでは、「①FX-SX-B」の方式に関し てEBWの研究を行ってきた。また最近は、②と③を用いたEBWの励磁実験を開始した。特にO-SX-B方式では、磁力線に対する電磁波の入射角に最適値がある。実験でも、入射角を変化させながらEBWの測定を行ったところ、EBWの短波長波動が検出される角度が存在し、定性的に O-SX-B方式でのEBW変換を観測できた。一方、光線追跡コードおよびFDTD法による電磁界解析コードを開発した。特にFDTD法では1次 元および2次元コードを開発し、短波長のEBWにモード変換することが計算的に確認できた。 また内部導体装置Mini-RTの内部導体コイルの特性改善を目指して、ReBCO線材を用いた高温超電導コイルを製作した。特に、ReBCO 線材コイルと永久電流スイッチとの組み合わせにより、電流減衰時定数が200時間以上という高性能コイルであることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所期の目的である3つの方法による電子バーンシュタイン波の直接計測に向けて実験がスタートでき、初期的な結果が得られた。また電子バーンシュタイン波の励起・減衰に対するFDTD法による計算機コード(1次元と2次元)を開発し、モード変換による電子バーンシュタイン波の励起を確認できた。さらにReBCO線材を用いた超伝導コイルを製作し、所期の機能を有する高性能な高温超電導コイルであることが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
ReBCOコイルとPCSとの組み合わせによる永久電流モードで、200時間以上の減衰時定数を有するコイルである事が確認できたので、これをMini-RT装置のビスマスコイルと交換し、Mini-RT装置での冷却・励磁試験を実施する。さらに励磁されたコイルを冷却システムから切り離し、磁気浮上実験を行うと共に、2.45GHzのマイクロ波でプラズマを着火し、プラズマ閉じ込め実験に供し、コイル特性の劣化が起こらないか確認する。なおMini-RT装置では多数回のプラズマ実験を行うので、そのような条件下でもコイル特性の劣化が起こらないかを確認する。 Mini-RTプラズマで開発してきたプラズマ中の電磁波の直接計測法を活用して、電子バーンシュタイン波の3つの励起・伝搬実験(FX-SX-B法、O-SX-B法、FX-B法)について検証し、トーラスプラズマ中での電子バーンシュタイン波の励起・伝搬に関する総合的理解を目指す。
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Research Products
(3 results)