2011 Fiscal Year Annual Research Report
直線磁化プラズマにおけるイオン温度揺動の観測及び揺動駆動輸送の評価
Project/Area Number |
23360414
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Nuclear fusion studies
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
稲垣 滋 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (60300729)
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Keywords | プラズマ / 乱流輸送 / 温度勾配不安定性 / イオン温度揺動 / プローブ |
Research Abstract |
本研究では、(1)温度勾配不安定性を実験室プラズマ中に励起し、密度揺動、電位揺動に加え温度揺動を計測する、(2)温度勾配不安定性が駆動する磁場を横切る粒子束と熱流束の観測、zonal flowなどの他の不安定性との非線形競合過程の同定により、温度勾配不安定性の輸送への影響を明らかにする、事を目的とする。 本研究の重要な要素は揺動の励起、計測、揺動駆動輸送の評価である。平成23年度は九州大学直線乱流プラズマ実験装置PANTAを用いて、それぞれの基礎となる理論・技術の検証を行い有効性が確認できた。揺動励起では温度勾配不安定性励起をめざし、Hollowな密度分布形成を試みた。背景中性粒子密度を制御する事で密度分布が制御可能である事を検証した。背景中性粒子密度を低くする事で中心部が平坦又は弱いHollowな密度分布が形成される。温度揺動計測としては、シングルプローブ及びダブルプローブ法による電子温度計測にconditional sampling法を適用し、浮遊電位揺動又は密度揺動に同期した温度揺動成分の抽出に成功した。並行して揺動伝搬位相差を補償するトリプルプローブによる温度揺動計測と比較・検証を行った。イオン温度計測としては5chのイオンセンシティブプローブの設計が完了した。イオンセンシティブプローブに今回検証したconditional sampling法を適用する。揺動駆動輸送の評価としては、温度揺動による熱流束の評価を行った。これまで評価が難しかった拡散的な熱流束の見積もり及び従来から観測されてきた対流的な熱流束との比較を行った。ドリフト波の場合、拡散的熱流束は対流的熱流束よりも無視できるほど小さい。一方、ドリフト波の特徴を持たない非線形励起されたと考えられる揺動では、拡散的熱流束は全熱流束に大きく寄与する事が分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記で示した研究遂行のために必要な3つの要素全てに対して予定通り、その基盤の確認・検証が完了し、プロジェクトの見通しが得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度でプローブを用いた接触型計測による温度揺動計測の展望が得られた。今後はプローブによる温度計測を積極的に活用し、研究を加速する。将来を見据えた非接触型計測であるレーザー計測についてはアセスメントを進め、プローブ計測に対する相補的な役割を明確にする。
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