2012 Fiscal Year Annual Research Report
直線磁化プラズマにおけるイオン温度揺動の観測及び揺動駆動輸送の評価
Project/Area Number |
23360414
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
稲垣 滋 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (60300729)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | プラズマ / 乱流輸送 / 温度勾配不安定性 / イオン温度揺動 |
Research Abstract |
本研究では、(1) 温度勾配不安定性を実験室プラズマ中に励起し、密度揺動、電位揺動に加え温度揺動を計測する、(2) 温度勾配不安定性が駆動する磁場を横切る粒子束と熱流束の観測、zonal flowなどの他の不安定性との非線形競合過程の同定により、温度勾配不安定性の輸送への影響を明らかにする、事を目的とする。 本研究の重要な要素は揺動の励起、計測、揺動駆動輸送の評価である。平成24年度は九州大学直線乱流プラズマ実験装置PANTAを用いて、(1)イオン温度勾配不安定性(ITG)の線形シミュレーションを行い、PANTA装置においてITGが線形不安定になる領域を明らかにし、(2)ターゲットとすべき実験条件が明らかになった。温度揺動計測に関しては、(3) イオンセンシティブプローブを開発し、イオン温度及び電子温度の径方向分布が同時に得られ、(4) 昨年度開発したconditional sampling法を用いて浮遊電位揺動に同期した電子温度揺動とイオン温度揺動の抽出に成功した。イオン温度揺動の振幅は平均値の7%程度である事が分かった。これは電子温度揺動のレベルと同程度である。また、(5)半導体レーザーを整備し、レーザー誘起蛍光法によるイオン温度の精密計測によるプローブ計測の検証及び周方向プラズマ流速計測を開始した。揺動駆動輸送に関しては揺動駆動粒子束の軸方向分布を行い、(7) 軸に沿って内向き粒子束が外向きに反転する事が明らかになった。装置全体に渡る巨視的な対流構造の存在が示唆された。 今回は散逸性ドリフト波のイオン温度揺動の計測を行ったが、成果(1)-(4)に示すようにITGについても励起及び計測の準備が完成しており、その同定が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実績で示した通り、本年度で九州大学直線乱流プラズマ実験装置において、ITGの励起条件が明らかになりイオン温度揺動計測の開発が進展している。これらの理由から順調に計画通り進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
九州大学直線乱流プラズマ実験装置PANTAにおいてITGが励起されると予測された条件で実験を行い、イオン温度揺動を計測する。密度勾配や温度勾配への依存性や揺動の大きさ、揺動間の位相差からITGの同定と揺動励起の熱流束を観測する。並行してレーザー誘起蛍光法の開発を進め、プローブによるイオン温度計測の検証を行うとともにプラズマの周方向フローの精密測定を行う。
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