2012 Fiscal Year Annual Research Report
コンビナトリアル手法を取り入れた照射環境下での経年劣化現象の解明・評価技術研究
Project/Area Number |
23360418
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
鎌田 康寛 岩手大学, 工学部, 教授 (00294025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 永康 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア部門, 主任研究員 (00391889)
菊池 弘昭 岩手大学, 工学部, 准教授 (30344617)
小林 悟 岩手大学, 工学部, 准教授 (30396410)
村上 武 岩手大学, 工学部, 技術専門職員 (60466513)
渡辺 英雄 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (90212323)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 照射損傷 / 非破壊評価 / 磁気特性 |
Research Abstract |
本研究では、原発機器構造物の照射環境下での経年劣化現象の機構解明と非破壊評価技術開発を目指し、高効率・高精度にデータ取得できる“コンビナトリアル型研究”を新しく提案する。H24年度は既存のタンデム型加速器に、直線駆動シャッターと温度制御試料台を新しく据え付け、コンビナトリアル型照射研究が可能となる実験システムを構築した。試料としてCr濃度を変えた鉄クロム単結晶の薄膜および微小磁性体を準備し、照射温度および照射量を変えてCu2+イオン照射を実施した。照射・未照射試料の磁化測定および磁区観察を行い、磁化挙動に与える照射効果を調べた。Fe-20%Cr合金の475℃照射実験において、磁化曲線から得られる飽和磁化の照射による変化は見られなかったが、照射量とともに保磁力が増加することを確認した。Fe-20%Crバルク合金の熱時効材では2相分離により保磁力が増加することが知られている。このことを考慮すると、照射による過剰空孔の形成で2相分離が促進してCrリッチ析出物が形成・成長した結果、保磁力が増加したと推察される。保磁力の増加挙動は、カー効果顕微鏡を用いた磁場印加下での磁区観察によっても確認できた。一方、5%Crから15%Cr合金については、475℃、0.14dpaの照射条件で、測定誤差の範囲で保磁力に変化は見られなかった。この照射条件では二相分離がほとんど進行していない可能性がある。以上のように、鉄クロム合金の照射劣化挙動と磁気特性変化の、Cr濃度および照射条件依存性の一部を明らかにできた。コンビナトリアル型手法を取り入れた高照射量実験をさらに進めることで、照射効果の詳細が明らかにされると期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
照射量傾斜をつけるための直線駆動シャッター機構、および、照射温度効果を効率的に調べるための温度制御ステージを開発し、既存タンデム型加速器(九大)に新たに設置して動作することを確認した。これにより、高温環境下でコンビナトリアル型の照射実験が可能となり、研究は順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
1、2年目に立ち上げたコンビナトリアル型単結晶合金作製装置および直線駆動シャッター機構・温度制御ステージ付の重イオン照射装置を用いて、試料条件・照射条件を系統的に変え実験を進める。特にFe-Cr合金の二相分離現象を中心に、各物理特性に与える照射効果について明らかにする。
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Research Products
(4 results)