2013 Fiscal Year Annual Research Report
原子力水化学のための非均質照射場の超高速反応ダイナミクスの研究
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23360430
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
永石 隆二 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力基礎工学研究センター, 研究主幹 (00354895)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 懸濁溶液 / 酸化物 / 積分球 / 電子線パルス / チェレンコフ光 / 高濃度塩水溶液 / 放射線分解生成物 / 反応速度 |
Research Abstract |
試作した積分球タイプの反射分光装置を線形加速器-分光装置システムに設置し、電子線パルスの非照射下または照射下の条件で反射分光装置の動作確認を行うとともに、懸濁溶液中の高速反応の測定(反射分光法)に着手する前に重要な測定として、懸濁物の表面電荷や水中の反応物のイオン雰囲気に影響を及ぼす、高濃度の塩を含んだ水溶液のパルスラジオリシス(透過分光法)により放射線分解生成物の反応の塩濃度依存性を調べた。 反射分光装置の動作確認では、直径60mm、検出光用開口部3mmの積分球、及び固-液の懸濁溶液(水中の酸化物粉末を撹拌)を用いて電子線パルスの照射を行った結果、参照光のフラッシュランプの光強度が積分球の開口部では入射時の1000分の1程度になること、電子線パルス出口-積分球-光学セル(懸濁溶液)の並びでは懸濁溶液の電子線照射で発生するチェレンコフ光の強度が参照光の強度に比べて顕著になること等を明らかにした。 高濃度塩水溶液のパルスラジオリシスでは、放射線分解生成物である水和電子と1価銀イオンとの(拡散)反応を観測した結果、その2次の反応速度が100mMの銀イオン濃度まではデバイ-ヒュッケル則に従って低下するが、それ以上の銀イオン濃度ではデバイ-ヒュッケル則に従わずさらに加速度的に低下することがわかった。このことは高濃度塩水溶液中の反応を把握するためには、反応物の活量係数及び拡散係数の塩濃度依存性をそれぞれ独立して評価する必要があることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
懸濁溶液中の高速反応の測定に用いる線形加速器-分光装置システムに導入する反射分光装置のデザイン及び開発がほぼ完了し装置の試作を製作したので、反射分光装置の設置及び動作確認の着手に至ったが、さらなる反射分光装置の改良、実際に懸濁溶液中の高速反応を測定すること等は今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
線形加速器-分光装置システムに組み込んだ反射分光装置の動作確認をさらに進めるとともに、これを用いて固-液、液-液等の懸濁溶液中の放射線分解生成物の高速反応の測定を実施する。マシンタイム、故障、メンテナンス等で線形加速器を利用しない/できない期間は、上記「研究実績の概要」と同様に、懸濁溶液の化学状態分析や調製法確立を実施するとともに、高速反応での観測対象や条件を選定するために、懸濁溶液の定常照射による生成物分析を実施する。
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Research Products
(1 results)