2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23360436
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 博 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (60283743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大垣 一成 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (80107078)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ガスハイドレート / 自己保存性 / 天然ガス / 新エネルギー / エネルギー輸送 |
Research Abstract |
(1)メタンハイドレートの分解速度測定 当初の計画通り、各種の微量添加物を含有する原料水から製造したメタンハイドレートの分解速度測定を、0.1から1.0 MPaの圧力範囲、243から273 Kの温度範囲で実施し、添加した電解質と水との共晶点温度付近で分解が強く抑制されることと、電解質の濃度が高い場合は共晶点温度にて突然急激に分解することを明らかにした。特に後者の温度は圧力には依存しなかった。 (2)メタン以外のハイドレートの分解速度測定 天然ガスの第二成分であるエタンのハイドレートについて、メタンハイドレートと同様の検討を進めている。製造の課題は解決し、順次測定を進めている段階である。次年度も引き続き実施する。 (3)自己保存性の発現機構解明と強化手法の探索 共晶点温度直下における強い自己保存性の発現は、移動度の高い水によってガスハイドレート表面を覆う氷の焼結が促進されるためと推定された。一方、高い濃度における分解の促進は安定な水溶液の発生がこの氷の一部を融解するためと考えられた。これらについて学会および論文にて報告した。また、ガスハイドレートを貯蔵・輸送したい温度域に応じ、適切な共晶点温度を示す電解質を添加することで自己保存性を強化できることを明らかにし、特許出願を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は以下の三項目の実施を計画していた。 (1)メタンハイドレートの分解速度測定 当初の計画通り、各種の微量添加物を含有する原料水から製造したメタンハイドレートの分解速度測定を、0.1から1.0 MPaの圧力範囲、243から273 Kの温度範囲で実施し、添加した電解質と水との共晶点温度付近で分解が強く抑制されることと、電解質の濃度が高い場合は共晶点温度にて突然急激に分解することを明らかにした。特に後者の温度は圧力には依存しなかった。本項目は論文報告を持って完了した。 (2)メタン以外のハイドレートの分解速度測定 エタンハイドレートの分解測定を進めている。現在半分程度の進捗であり、残された一年で十分完了すると考えている。 (3)自己保存性の発現機構解明と強化手法の探索 共晶点温度直下における強い自己保存性の発現は、移動度の高い水によってガスハイドレート表面を覆う氷の焼結が促進されるためと推定された。一方、高い濃度における分解の促進は安定な水溶液の発生がこの氷の一部を融解するためと考えられた。これらについて学会および論文にて報告した。また、ガスハイドレートを貯蔵・輸送したい温度域に応じ、適切な共晶点温度を示す電解質を添加することで自己保存性を強化できることを明らかにし、特許出願を行った。本項目は当初計画より一年早く、最小限の目標をクリアできたと考えている。 以上のように、1項目はやや遅れているが、他の項目は計画通りや計画以上に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
電解質を添加したメタンハイドレートの分解速度測定により、ガスハイドレートの自己保存性には氷の焼結が重大な役割を持ち、移動度の高い水がこれを促進する一方、安定な液体相の発生は氷の融解を引き起こして分解を促進することを明らかにした。その結果を踏まえ、今後は以下の方策で推進する。 (1)メタン以外のハイドレートの自己保存性の検討 昨年度メタンハイドレートで明らかにした自己保存性の発現機構は、他のガスハイドレートにも当てはまるかどうかを明らかにする。昨年度より検討を開始しているエタンハイドレートについて実験を進める。また、可能であれば第三のガスハイドレートについても簡単な検討を行いたい。なお、研究計画調書において混合ガスハイドレートについて触れていたが、天秤法では天秤内部のガス組成が時間的、空間的に変動することにより浮力を正確に推定することができないため、実施する場合は大気圧のみとなるが、体積測定法で実施する。試料製造は主に高橋・三町・木下が担当し、測定については佐藤・菅原が中心に進める。 (2)自己保存性の強化手法の探索 昨年度、ガスハイドレートの自己保存性は保存温度域に近い共晶点温度をもつ電解質の添加で強化できることを示したが、これをさらに強化する手法の探索を行う。この検討は他のメンバーの助言を得ながら佐藤・菅原が中心に進める。
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Research Products
(3 results)