2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロクロマチン構造の確立と維持を制御する分子機構
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23370004
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中山 潤一 独立行政法人理化学研究所, クロマチン動態研究チーム, チームリーダー (60373338)
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Keywords | ヘテロクロマチン / RNAi / ユビキチン化 |
Research Abstract |
本研究では、優れたモデル生物である分裂酵母を用いて、RNAi因子の機能解析とヒストンメチル化酵素複合体CtRCの解析を進め、ヘテロクロマチン構造確立の分子メカニズムを解明することを目的とし以下の研究を遂行した。 【1】新規RNAi因子の機能解析:先行して実施した研究によって、機能未知のRNAi因子であるers1の変異体を単離し、この変異体の表現型がhrr1とclr4の発現によって抑圧されることを見出していた。本年度は、免疫沈降法、酵母ツーハイブリッド法によって三者の関係を解析し、実際にErs1がHrr1と結合する事を明らかにした。また、Ers1はClr4とは直接相互作用しないが、その下流で働くSwi6/HP1と結合することを明らかにした。さらにChlP解析によって、Ers1とHrr1のヘテロクロマチン局在にSwi6が重要な役割を果たす事を明らかにした。以上の結果より、Ers1はSwi6とHrr1を含むRDRC複合体を結びつける仲介的な役割を果たす因子であることが強く示唆された。 【2】CLRC複合体の機能とRNAi:ヒストンメチル化酵素であるClr4は、ユビキチン化に関わるCul4とともにCLRC複合体を形成しているが、そのユビキチン化活性がClr4の機能とどのように関連するのか、実際の標的分子も含めて明らかにされていない。本研究ではまずタグを付加したヘテロクロマチン関連因子を電気泳動で分離、検出し、その分子泳動度の変化からユビキチン化の候補となる因子をスクリーニングした。また実際にclr4やriklの変異によって候補因子のユビキチン化が変化するかどうか解析を行った。現在までに約50のヘテロクロマチン関連因子を検討し、複数の候補因子を同定した。これら候補因子が実際にCLRCによってユビキチン化されているかさらに検討を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載したとおりErs1の機能解析を進め、Hrr1とSwi6との関連を明らかにすることに成功した。CLRC複合体の機能解析について、申請書では生化学的解析による検討を中心に記載していたが、実際には同時並行していた基質のスクリーニングを優先して進めた。生化学的解析については来年度以降継続して進める予定。
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Strategy for Future Research Activity |
新規RNAi因子であるErs1の機能解析については、順調に進展しており論文として成果を発表できると思われる。今後さらに遺伝学的な解析を継続して進めRNAi経路を制御する因子の解析を進める予定である。またCLRC複合体の機能解析については、基質のスクリーニングと生化学的解析を平行して進める予定。
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Research Products
(7 results)