2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロクロマチン構造の確立と維持を制御する分子機構
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23370004
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
中山 潤一 名古屋市立大学, 大学院システム自然科学研究科, 准教授 (60373338)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 遺伝子 / 発現制御 / ヘテロクロマチン / RNA干渉 / 分裂酵母 |
Research Abstract |
【1】新規RNAi因子の機能解析 セントロメアヘテロクロマチンのサイレンシング解除を指標にした遺伝学的なスクリーニングによって、昨年度までにヘテロクロマチン形成に関わる新規因子として、ers1+とdsh1+の変異体を単離した。本年度はそれぞれの因子の解析を引き続き行うことで、両者がRNAi経路に関わりsiRNA産生に重要な役割を果たす事を明らかにした。またRNAi経路におけるこれら新規因子の役割を解明するため、両者と相互作用する因子を酵母ツーハイブリッド法によって探索した。その結果、Dsh1がRNAポリメラーゼIIの転写終結に関わる因子と相互作用することを見出した。 【2】CLRC複合体の機能とRNAi ヒストンメチル化酵素であるClr4は、Rik1、Cul4とともにCLRC複合体を形成している。Cul4はユビキチンリガーゼ活性を有しているが、そのユビキチン化活性がClr4の機能とどのように関連するのか、実際の標的分子も含めて明らかにされていない。昨年度に引き続き、既知のクロマチン関連因子、転写関連因子にタグを付けて発現させ、電気泳動における挙動を調べるスクリーニングを行い、ユビキチン化修飾を受ける候補因子としてRNAポリメラーゼIIのサブユニットの一つを同定することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
遺伝学的なスクリーニングは、系が実際に動くかどうかも含めて成果に結びつくか不確定な要素が多い。しかし、今回スクリーニング系を一から立ち上げ、実際にこれまで機能の明らかにされていなかった2つの因子の同定に成功したことは極めて高く評価できる。また、その機能解析を行い、それぞれの因子がRNAi機構の中心的な役割を果たす事を明らかにすることができた。本成果は国際的にも高く評価され、それぞれPNAS誌、Genes & Development誌に報告することができた。 また今回明らかになった新規因子を起点に研究を展開することで、高次クロマチン構造形成とRNAポリメラーゼの終結反応という、これまで明らかにされていない接点を見出すことができた。本研究は残りの研究期間でさらに大きく発展するものと期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究によって明らかになった、RNAポリメラーゼの終結因子とヘテロクロマチン構造形成の関係についてさらに解析を続けて行う。研究代表者の異動に伴い研究体制を一部変更する必要が生じたが、可能な範囲で研究費を人件費に充てるなど臨機応変に対応することで、計画通り研究を遂行する予定である。
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Research Products
(7 results)