2012 Fiscal Year Annual Research Report
個体群生態学と繁殖生態学の融合による植物の生活史研究の包括的展開
Project/Area Number |
23370006
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大原 雅 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 教授 (90194274)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 系子 独立行政法人森林総合研究所, 北海道支所, 主任研究員 (00343814)
高田 壮則 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 教授 (80206755)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 植物 / 生活史 / 個体群生態学 / 繁殖生態学 / 長期モニタリング |
Research Abstract |
1960年代に芽生えた、植物の生活史(life history)研究は、近年の分子マーカーの開発とその野外個体群への応用により、これまで困難とされてきた花粉や種子を介しての遺伝子流動パターンの把握や他殖率や近交弱勢の推定など、繁殖生態学の領域における研究の目覚ましい進歩をもたらした。しかし、繁殖生態に関わる情報だけが精度を増しても、その後の成長、生存、死亡に関する情報が伴わなければ、その種の生活史の全貌は明らかにならない。本研究では、個体群動態に関して長期モニタリングデーター(7年~30年)が整っている林床草本植物群11種を対象として、繁殖生態学と個体群生態学の包括的アプローチにより生活史研究の全容を解明することを目的としている。本研究課題の2年目となる平成24年度は、以下の項目に関して調査、解析を行った。 1) 個体群動態:調査区のモニタリングの継続を行うとともに、推移行列モデルから推定される繁殖率、死亡率などのパラメータについての調査を行った。2) 繁殖特性:初年度同様に、各種について自家受粉率、強制他家受粉での結実率、花粉と胚珠の比率、雄しべと雌しべの空間配列、開花時期を測定し、花粉媒介昆虫への依存度や自家受粉効率を調査する。また、種子発芽特性に関しても引き続き調査を行った。3) 個体群動態:初年度同様に生活史段階の異なる各個体(実生、未成熟個体、成熟個体)から葉を採集し、酵素多型ならびにAFLP解析を用いて、集団の遺伝的構造を把握とともに繁殖率、死亡率が異なる個体群間で、遺伝的構造の比較を行い、数理解析に必要な個体群統計遺伝学的パラメーターの整理を行った。4)数理解析:得られた各種個体群の遺伝構造ならびに遺伝的パラメータ(自殖率・近交弱勢)をもとに個体群の変動が遺伝的変異に与える定量的な予測を試みる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、「野外調査」、「遺伝解析」、「数理解析」の3つの柱を中心として調査研究を展開している。各分野の共同研究者との連携もうまく取れ、順調に研究が遂行されている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現状では特に問題はなく、最終年度の平成25年においても、順調に調査研究が行われる予定である。
|
Research Products
(5 results)