2013 Fiscal Year Annual Research Report
寄生蜂とマメゾウムシ2種の記憶と学習を介した3者系個体群動態:神経行動学との連携
Project/Area Number |
23370009
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嶋田 正和 東京大学, 大学院情報学環, 教授 (40178950)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 学習行動 / 選好性 / ゾウムシコガネコバチ / 寄生 / 個体数動態 / 個体ベースモデル / Baldwin効果 / 進化 |
Research Abstract |
宿主2種のマメゾウムシ類(アズキゾウムシ、ヨツモンマメゾウムシ)と捕食者の寄生蜂ゾウムシコガネコバチ(ja系統)からなる3者実験系の動態を調べた。寄生蜂の匂い学習によって2種の宿主に対して頻度依存的に捕食圧がかかり、2種の宿主の個体数が交代振動が発生する過程を解析した。平成25年度は、匂い学習ができないゾウムシコガネコバチ同胞種ka系統(染色体数の差異でja系統とは生殖隔離)を使って、ゾウムシコガネコバチ3者系と同じ構成の累代実験系の動態を観測した。豆の総量を10gにそろえ、豆の比率をアズキとブラックアイでAZ10:BL0、AZ8:BL2、AZ5:BL5、AZ2:BL8、AZ0:BL10に設定した。ブラックアイは種皮が薄く、中の幼虫・蛹は一網打尽で寄生される。アズキは種皮が固く、寄生されにくく幼虫や蛹は避難場所になる。その結果、アズキ比が高いと寄生蜂が増えられず、アズキゾウムシが早々と消滅した。AZ5:BL5の繰り返し1つ、AZ2:BL8の繰り返し1つで、長い3種の共存が見られた。これをもとに、apparent competition(見かけの競争)とapparent mutualism(見かけの相利共生)の考察をした。この成果は第61回日本生態学会(広島)、第58回日本応用動物昆虫学会(高知)で発表した。さらに、寄生蜂の産卵学習に関与するカイロモンを特定するために、宿主2種の成虫・幼虫および食入豆から出る匂い成分をヘキサンで抽出してGC/MS 分析をおこない、各種特有の匂い成分に着目してカイロモン候補物質を探索した。宿主2種の匂い成分は主に炭化水素で構成されており、宿主間で炭化水素の組成比が異なっていた。カイロモン候補物質として、ヨツモンまたはアズキゾウに特異的に存在する8つの長鎖炭化水素が見つかった。このうちメチル側鎖のある7つの炭化水素は純品の購入が不可能なために化学合成を試みた。現在までに7つのうち主要な3つの炭化水素の合成に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
|