2013 Fiscal Year Annual Research Report
琵琶湖における細菌群集と溶存有機物の相互作用による両者の質的変遷
Project/Area Number |
23370010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中野 伸一 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (50270723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 和秀 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター, 総合解析部門, 専門研究員 (80291178)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 溶存有機物 / 植物プランクトン / 浮遊細菌 / 化学組成 / 遺伝系統解析 |
Research Abstract |
本研究では、以下が解明された。琵琶湖では、夏季に表水層で溶存有機物(DOM)濃度が上昇する。これは、表水層で植物プランクトンが溶存有機物(タンパク質様DOM)を生産するが、表水層の窒素・リンが枯渇しているために細菌による分解が促進されず、DOMが蓄積するからである。細菌による分解は窒素・リンが比較的多く供給される水温躍層に限定され、タンパク質様DOMは難分解な腐植様DOMへと変換される。琵琶湖におけるCODの上昇は、この腐植様DOMの蓄積かもしれない。ここで生成した腐植様DOMは、冬季にかけて湖水が鉛直循環するために深水層へと輸送される。一方、夏季の水温成層している琵琶湖北湖全域の深水層では、クロロフレクサス門に属するCL500-11細菌一種のみが優占することが明らかとなった。深水層は、元々溶存有機物濃度が高くないため、この細菌は難分解な腐植様DOMを利用せざるを得ないであろう。さらに、主に細菌食者であるキネトプラスチド鞭毛虫に特異的な遺伝子プローブを用いたFluorescently in situ Hybridization (FISH)を行ったところ、夏季の琵琶湖深水層では、キネトプラスチド鞭毛虫が全鞭毛虫の45%も占めていることが明らかとなった。すなわち、琵琶湖の深水層では、表水層で植物プランクトンにより生産されたタンパク質様DOMが細菌により腐植様DOMへと変換され、腐植様DOMは湖水循環によって深水層へと輸送され、次の年の夏季・成層期にCL500-11細菌に利用され、増殖したCL500-11細菌はキネトプラスチド鞭毛虫に摂食されるという、表水層での一次生産に端を発する深水層特有の微生物ループが駆動しているのかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(11 results)