2012 Fiscal Year Annual Research Report
花粉の表層構造エキシンおよびポレンコートの形成機構と受粉過程における機能の解析
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23370018
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石黒 澄衛 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (50260039)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シロイヌナズナ / 花粉 / エキシン / ポレンコート / タペート細胞 / 細胞壁 / 多糖 / リシーケンス |
Research Abstract |
花粉表層のエキシン層が押しつぶされたような形状になるシロイヌナズナの突然変異体kaonashi20(kns20)について重点的に解析を行った。ファインマッピングおよび高速シーケンサを用いたリシーケンスによりkns20の原因遺伝子を同定した。複数のアリルが同じ表現型を示すことも確認した。原因遺伝子がコードしていたのは、おそらく何らかの多糖の生合成に必要であると推定される酵素であった。GUSレポーター遺伝子を用いた解析から、KNS20遺伝子は四分子期前後のタペート細胞で発現していると推定された。アニリンブルー染色したサンプルの共焦点レーザー顕微鏡観察、および透過型電子顕微鏡による観察から、kns20の花粉四分子は野生型よりもカロース壁が薄く、さらにプライムエキシン層(四分子内の小胞子とカロース壁の空間で、エキシンが発達する場所)にも異常が認められた。KNS20はおそらくカロース壁やプライムエキシン層の形成に必要なのだろう。このほかのkns突然変異体についても高速シーケンサを用いた原因遺伝子の同定を進め、kns3、kns19、kns23、およびkns27の原因遺伝子を決定した。このうちkns19はハウスキーピング遺伝子の弱い変異アリルであると推定された。またkns27はkns20のアリルであることがわかり、kns20の原因遺伝子の同定に貢献した。kns3とkns23の原因遺伝子はまだ機能がわからない遺伝子であった。高速シーケンサを用いた遺伝子同定法のノウハウが蓄積し、比較的短時間で遺伝子同定が行えるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
kns20について、表現型が一部不明瞭であることが原因で遺伝子型の判定ミスがありその修正に時間がかかったが、原因遺伝子の同定に至ったのは大きな成果である。論文として発表するにはまだ詰めの実験が必要であるが、減数分裂直後の花粉表層の構築機構に新しい知見を提供できると考えている。他のkns突然変異体の原因遺伝子同定も進み、高速シーケンサを用いた遺伝子同定法のノウハウが蓄積してきたことも成果の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
原因遺伝子が同定できたkns突然変異体が増えてきたので、表現型や推定される遺伝子産物の機能が興味深いものから重点的に解析を進めることとする。
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