2013 Fiscal Year Annual Research Report
花粉の表層構造エキシンおよびポレンコートの形成機構と受粉過程における機能の解析
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23370018
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石黒 澄衛 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (50260039)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シロイヌナズナ / 花粉 / エキシン / ポレンコート / タペート細胞 / 細胞壁 / 多糖 / リシーケンス |
Research Abstract |
シロイヌナズナの花粉の表面は網目構造のエキシンで覆われている。その網目が野生型よりも細かくなる突然変異体kaonashi6(kns6)について、原因遺伝子の同定を試みた。高速シーケンサによるリシーケンスで見出された候補遺伝子について、遺伝子導入による表現型の相補の確認や、T-DNAによる遺伝子破壊株の表現型解析(kns6と同じ表現型を示すことの確認)を行い、それが真の原因遺伝子であることを確認した。原因遺伝子KNS6は糖転移酵素をコードすると推定される遺伝子であった。GUSレポーター遺伝子を用いた解析から、KNS6は花粉四分子期から二細胞期まで比較的長時間に渡り、タペート細胞で発現していることがわかった。KNS6は細胞外の多糖性マトリクスの形成に寄与することが期待されたため、多糖を認識する特異抗体を用いて発達初期の花粉の免疫染色実験を行った。その結果、野生型ではエキシンの形成に先行して多糖による柱状の構造が等幅・等間隔に構築される様子が観察できた。一方、kns6突然変異体ではその構造が細く密になり配置も乱れていた。この結果より、エキシンの形状を決める際には多糖性マトリクスが重要な働きをしていることが明らかになった。kns6と同様の表現型を示すkns3突然変異体についても免疫染色実験を行い、やはり多糖性マトリクスの構造が異常になっていることを確認した。 エキシンが薄くなるkns4についても解析を進め、原因遺伝子KNS4がコードする酵素の活性を生化学的に証明することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
kns4、kns6、kns20を中心に解析が進んでおり、原因遺伝子が同定できたことにとどまらず、エキシンの形成がどのようなしくみで進行するかが明らかになりつつある。期待通りの進捗状況であり、論文にまとめるための作業を鋭意進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
kns4、kns6、kns20の論文へのとりまとめが最終年度の最重要課題となる。kns4はほぼデータが出揃っているので、残りの二つの解析を重点的に進める。その一方で、まだ同定できていないkns突然変異体の原因遺伝子の同定を進め、出てきた遺伝子の顔ぶれを見ながら研究を次の段階に進めるための方策を練る。
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