2012 Fiscal Year Annual Research Report
植物の細胞周期M期と細胞質分裂制御の研究:非対称分裂との関連
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23370021
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
町田 泰則 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任教授 (80175596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 正樹 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (10242851)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 植物細胞質分裂 / NACK1 キネシン / MAPキナーゼカスケード / 孔辺細胞 / 非対称分裂・分化 / 微小管結合蛋白質 MAP65 / GIG1 / UVI4 |
Research Abstract |
(1) NACK-PQR経路の不活性化と活性化の仕組の研究:前年度までに、細胞周期の中期以前には、NACK1とNPK1はCDKによりリン酸化され、リン酸化された両蛋白質は結合せずに、NPK1 は活性化されないことがわかっていた。しかし、中期以降には、脱リン酸化されて、両分子は結合し、NPK1 は活性化され、細胞質分裂が進行することがわかった。したがって、細胞質分裂の進行には脱リン酸化酵素が必要であると推察された。24 年度には、酵母 2 ハイブリッド法により、NACK1 のリン酸化部位に結合するシロイヌナズナの脱リン酸化酵素を探索し、PP2Cを見いだした。現在、この分子の特性を研究している。 (2) GIG1-APC経路のM期後期進行における抑制的調節機構の研究:gig1変異体では、表皮細胞の非対称分裂が異常になり、染色体数が倍加する現象(エンドマイトーシス)が起きている。GIG1とそのパラログであるUVI4は、APC/Cユビキチンリガーゼの新奇阻害タンパク質であることがわかった。しかし、これらは部分的には機能重複しているが、単独変異体は異なる異常を示す。それが、異なる APC/C 活性化因子を阻害していることによることを示した。 (3) 二つの経路の相互関係の研究(Formative cell division 研究へ向けて):(1) に記した NACK1-NPK1 経路の下流にある MAP キナーゼの基質の中に、非対称分裂に関わる分子が存在すると仮定して、基質をスクリーニングしてきた。すでに、我々は微小管結合蛋白質 MAP65 が基質であることを報告したが、最近海外のグループとの共同研究によりMAP65のメンバーが、根の表皮細胞分化の非対称分裂に関わっていることを報告した。現在、さらに候補分子を探索している。同様にして、GIG1 と UVI4 の基質も探索している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画書の通りに研究は進んでいる。二年目にして、NACK-PQR 経路の活性化因子の候補が得られたことは、想定以上であった。また、シロイヌナズナの MPK4 MAP キナーゼが、 MAP65 ファミリーの多くの分子種をリン酸化することも予想外であった。さらに、予想外なデータとしては、葉の細胞分化の研究からCDK インヒビターなどの細胞周期制御因子が機能していることを見いだし、細胞分化と分裂との間の新たな関連性も見え始めた。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には計画通り推進すると同時に、新奇因子については、新たな方針で研究を進める。具体的には、細胞質分裂の新たな活性化因子が脱リン酸化酵素である可能性がでてきたので、遺伝学的研究に加えて生化学的研究も進める。また、MAP65 が根の表皮細胞の非対称分裂に関わっていることが共同研究でわかったので、地上部の細胞分化にも影響するかどうかを検討する。GIG1 の課題については、約1600個の独立した転写因子 cDNA ライブラリーを作成したので、これを gig1 や uvi4 (GIG1 オルソログ)変異体で過剰発現し、GIG1 や UVI4 の下流因子の候補を探索する。
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Research Products
(26 results)