2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23370025
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 信次郎 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (10332298)
|
Keywords | 植物 / 生理活性 / 発生・分化 / 有機化学 / 生体分子 |
Research Abstract |
ストリゴラクトン(SL)は根圏に分泌され、アーバスキュラー菌根菌との共生に関わるアレロケミカルとして働くとともに、内生のホルモンとして腋芽成長(枝分かれの形成)を抑制する。これまでの申請者らの研究により、SLの根圏情報物質およびホルモンとしての機能は、植物の栄養獲得戦略と密接に関わっていることが明らかになってきた。本研究では、SLの枝分かれ抑制以外のホルモン機能とその作用メカニズムに関する新たな知見を得ることを目的とする。また、F-boxタンパク質が欠損したSL非感受性変異体max2がなぜSL生合成変異体(ma1,max3,max4)と部分的に異なる表現型を示すのかを明らかにするため、その鍵となると考えられる D14LIKE遺伝子の生理機能解析を行なう。 本年度は、d14 d14like二重変異体に加え、d14 d14like max2三重変異体を作出し、これらが種子発芽、胚軸伸長、ロゼット葉の形態、枝分かれ数においていずれもmax2単独変異体と同様の表現型を示すことを明らかにした。以上の結果は、SL応答に関わるD14とその類似遺伝子であるD14LIKEが、MAX2経路で機能することを支持している。一方、以前の研究においてSL非感受性変異体であるmax2が、葉の老化が遅延する突然変異体として単離されていた。そこで、SL生合成変異体であるmax4を用いて、SLと葉の老化の関係を調べた。その結果、SL生産量が高まるようなリン欠乏条件においてシロイヌナズナのロゼット葉の老化が促進されるが、max4変異体においてはそれが遅延することが明らかになった。以上の結果は、貧栄養時に促進される葉の老化にSLが必要であることを示している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はおおむね当初の研究実施計画にしたがって実験を進めることができた。二重変異体および三重変異体の表現型解析から、D14とD14LIKE遺伝子がいずれもF-boxタンパク質をコードする遺伝子であるMAX2の経路で機能するという仮説が支持された。また、シロイヌナズナのストリゴラクトン欠損変異体においては、葉の老化が遅延することが示された。
|
Strategy for Future Research Activity |
D14とD14LIKE遺伝子がいずれもMAX2経路で機能することを検証するため、今後はd14,d14likeおよびmax2の二重、三重変異体における各種マーカー遺伝子の発現を調べる。また、植物ホルモン類の定量分析を行ない、d14likeの表現型と既知植物ホルモンとの関連性を明らかにするとともに、上記変異体の類似性を植物ホルモンプロファイルの面からも検証する。また、ストリゴラクトン欠損変異体において観察された葉の老化の遅延が最終的に植物の生育、特に栄養の転流にどのような影響を与えるのかを明らかにするため、野生型およびストリゴラクトン欠損変異体を低リン条件で栽培し、最終的な種子収量を測定する。
|
Research Products
(3 results)